お問い合せ

ドラッカーとの対話  未来を読みきる力 15

● アクション8—「人間移動」から「仕事移動」へ

 

これまでの人と仕事と組織の関わり方を振り返ると、

 

①  まず職住同時・同所の時代、

② 次いで、職のあるところへ人が動き、人を動かす時代、さらに大量に人を運ぶ時代、

③   しかし、これからは、テレコミュニケーションの高度の発達によって、

       処理能力と処理特性のあるところへ組織や会社を動かす時代が、

      すでに一部ではあるがやってきた。

 

これにより、集中化から分散化へという人や組織の流れが出てくるし、また、

①  どうしても人と人が接触する必要があるような仕事や、

②  どうしても、意思決定上、人が会う必要があるタスク以外は、処理力の存在するところへ

      万事がシフトしていく。

 

こうした動向は、日本のこれまでの一極集中型の都市形成や労働力の配置や

大量交通手段やショッピング機能や、さらには不動産問題に対しても、

いきおい大きなインパクトを与えざるをえないことを衝く。

労働力のあるところ、処理能力の存するところ、それらをグローバルな視野で見つめ

選びとっていくのが、今後の人的資源管理の重大な要のつになると強調する。

 

● アクション9—-情報をどう有効に使うか

 

情報ベース型組織が、これからのオーガニゼーションの枢要な存在になるとすると、

当然、そこでの情報(シラセ)という資源の管理が、ヒト、モノ、カネ、トキの

マネジメントと並んで新しい意義を持つようになってくる。

こうした企業組織としての情報管理の要諦を、ドラッカーは次のように述べる。

 

①  技術情報はもちろんこと、内部情報にのみ目を配っていたのではいけない。

     ドラッカーの名言の1つともいわれる「(組織体)内部にあるのはコストのみ。

     すべての機会とチャンスは外部にあり」の考え方がここでも強調される。

     しかもここでの内部は、さらに自社が属する業界のみを狭く見つめていてはダメという

     ところにまで拡大して解釈されているのが着目される。

 

②  これをめぐるもう1つの要としては、技術情報にのみうつつを抜かし、「外=市場」、

    すなわち、顧客情報を等閑視してはいけないことをドラッカーが戒めている点である。

    そして、とくに今の顕在客だけではなく、まだ対象としていない潜在客(ノン・カスタマー)への

    ダブル・チェックと、その開発をめぐる情報管理の大事さを説くのである。

 

③ そして最後に力説するのは、「表の風に当たれ」ということ。

     現場に出よ、現実を直視せよの、いわゆる「3現主義」のすすめであり、

     とくにトップによる現場接触、密着管理法を実施することを説いている。

 

明日の経営者になるために

 

●アクション10—「社会的な課題」へのチャレンジ

 

ドラッカーは、「日本で一番重要な人材は若い経営者(ヤング・エグゼクティブ)である」という。

そしてそこでの中軸となるコンセプトは、日本の経済と経営を世界の経済と経営の中に、

いかにして統合し、一体化させていくかである。

 

●アクション11—「自分の強味を知る」ことへのチャレンジ

 

明日の経営者になる若きエグゼクティブに贈るドラッカーの第2のメッセージは

「汝自身を知れ」である。

ドラッカーの「汝自身をよく知れ」は、ソクラテスやアテネの神殿の神託のそれとは

若干ニュアンスが異なり、「自分自身の強味をよく心得よ」が中核概念となっていることに

着目したい。

自分の強味、得手、得意、長所をまずよく知り、それに対して十分な栄養と

チャンスを提供してやれ—-ということなのである。

今日では、自分の腕と真価を十分に発揮できる場を自ら発見し、しっかりと自分の

キャリアを築き上げることが各自に望まれると力説する。

自分が真に業績を達成し、本当に貢献し、パフォーマンス効果を高められる場を

見出すとともに、キャリア形成の過程においては持続した形で、自らの

ストロング・ポイントを練磨していかなければならないとドラッカーは訴える。

そのためには当然のことながら、絶えざる学習活動(ラーニング)と

脱学習活動(アンラーニング=学び捨て)が不可欠であるとする。

新しいテクノロジーや、新しい経済の場でのチームワークの組み方や、

ワールド・ビジネスでの処し方を学びとることもここで提案しているのである。

また、安定性を図りつつ柔軟性を加味することや、女性の力の活用といった点も

示唆している。

 

● アクション12—「変化を機会と捉える」ことへのチャレンジ

 

ドラッカーの最後のメッセージは、変化を機会として捉えること—こうした見方を

意欲的に学びとることである。

 

この続きは、次回に。

 

 

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