お問い合せ

ドラッカーとの対話  未来を読みきる力 22

□   明日の経営者はすべての変化をチャンスにせよ

 

ドラッカーは、〝明日の経営者像〟をどのように眺望し、構想しているのだろうか。

第1に感じることは、企業はこれまでの〝成功〟ゆえに、本来は政府などが主導して解決すべき

様々な社会問題(公害、環境、コミュニティ問題)に関しても、必要以上に、深く関与することを

要求されている、と考えていることである。

無論、(a)自分の(組織の)行為について第1次的責任を有するのは当然のことであり、

(b)利益を通じて賃金や税金を払うこともまた当然の社会的責任である。

しかし、本来的な経済活動のほかに、(c)ボランティア組織などへの寄付を通じて、

社会が満たすことのできない自己の能力を発揮したり、新しいポテンシャルを伸ばすことが

望ましいとしている。そして第2に、進展するグローバル化についてドラッカーは、

多国籍企業を是とし、今後の資源の地球的規模での保護と開発という角度から、

その責任をとりわけ重視している。しかし、マネジメントはそれぞれの地域の文化や

風土になじませ、どうかしたものにしなければいけないことを、とくに日本に関して

強調しているのが目立つ。「未来に向かって、人間は後ろ向きに歩いているように見えるが、

すべての変化はむしろ機会として捉えよう、という態度こそが未来を拓く」とドラッカーは言う。

 

9章     資本主義の転換期を生きる

 

来るべき新時代をひと言で言うならば、それは、「知識・情報ベース社会」であると指摘する。

そこでいくつかの優先課題の中で最も重要なテーマは、「モノ作り、モノ動かし」を

中心とする社会から、知識と情報の生産性向上に重点を置く社会に移行することであろう。

知識・サービス労働者の場合は、機械や装置やシステムを自らの知識と創意工夫によって

どう使うかが中心的課題となっている。また従来のハードウェアのなかに組み込まれていた

仕事への指示命令に従うのではなくて、自らの自主性と自立性と創造性をもって、

それぞれが仕事の処理に立ち向かわなければならなくなる、と説く。

それには、各自の使命(ミッション)と、そこから導き出される目標の明確化、確定化、

定義化、限定化が大前提となる。

このことを肝に銘じないかぎりすべては始まらぬ、とドラッカーは力説する。

 

「手術中の外科医は電話に出ない」

 

第2に大切なことは、このような知識・サービス社会において生産性を向上させるためには、

専門化と特化をトコトン推し進めることによって、各プロフェッショナルがそれぞれの本業・

本務・中核活動に、十分な関心とエネルギーと時間を費やし、コア・コンピタンス(中核能力)を

十二分に発揮できるようにしなければいけないということである。

 

潜在能力の発掘も可能

※ 省略します。

 

人ではなく仕事を移す

 

知識・サービス労働の生産性向上の第3のポイントは、〝処理能力のあるところへ仕事を移す〟ことである。

仕事のあるところへ人間にきてもらう時代は、そろそろ終わりを告げつつある、とドラッカーは指摘する。

重要な意思決定に関わることや、どうしても人との接触が不可欠な課業以外は、

いまや高度に発達した各種テレコミュニケーション手段でもって、在宅のまま十分仕事が

こなせる時代となった。そして、交通手段がすばらしく発達した日本の産業社会でもあと20年も経てば、

通勤ラッシュを嫌う人々の増大によって、仕事の場へ通うのではなく、人々のいるところに

仕事を移すことが一般化するだろう。この〝処理能力のあるところに課業を移す〟ことは、

いまでもすでに国境を越えて実施されている。

以上のように、知識・サービス労働をいかに上手にこなすかが、21世紀のカギであり、

それは日本のビジネス関係者にとっても他人事ではない。

 

この続きは、次回に。

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