お問い合せ

池上 彰のやさしい経済学2 ニュースがわかる ⑭

ドル以外の通貨はドルに、ドルは金に交換された

ドルとそれ以外の国の通貨をそれぞれいくらで交換するというしくみができました。

1ドルを何ポントにするか、何フランにするか、決まっていきました。

一方で、ドル自体は金の値段に固定しました。金1オンスを35ドルと決めたのです。その結果、

たとえばフランスからアメリカへもの輸出して、フランスの企業が支払いをドルで受け取ると、

フランス国内にたまったドルをフランス政府がアメリカに持って行って、このドルを金に換えて

くださいと言えば、いつでも1オンス35ドルのレートで交換できるようになりました。

アメリカには世界中からたくさんの金が集まっていたからこそ、このようなことができたのです。

いつでもアメリカへドルを持っていけば必ず金に換えてもらうことができた。

お札を銀行にもっていけば必ず金に換えてくれるのは金本位制度です。

つまり、世界的な規模でドルを金に換えることができる、いわば国際的な金本位制度が確立したと

いうことになります。世界の国々はドルに対して安心感があった。

だからドルが世界のお金になさったのです。

 

オンス—オンスという重さの単位は、普通の重さの単位のオンスと、金に関しての重さである

「トロイオンス」の2種類があります。1トロイオンスは、だいたい31グラムです。

金31グラムが35ドルだったので、金1オンスと決められました。

 

※   省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

世界経済を守る2つの仕組みをつくった—IMFと世界銀行

このようにして世界のお金はドルになりました。

これに伴い、各国の経済状態が悪くなった場合の混乱を防ぐため、また世界のお金の流れに

混乱が起きないよう、「国際通貨基金」と「世界銀行」という2つのしくみを同時につくりました。

 

国際通貨基金:加盟国の出資で共同の為替基金をつくり、各国に利用させて為替資金繰りの円滑化を

助けることを目的に設立された国際金融機関。

 

世界銀行:1944年のブレトンウッズ協定に基づいて設立され、46年6月に業務開始した国際金融機関の

中心的存在。現在は途上国向けの融資が中心。

 

世界の色々な国々が困ったときにお金を借りることができるこの2つのしくみも一緒につくった。

これがブレトンウッズ体制です。

 

ドルを使いすぎたアメリカ1—-マーシャルプラン

「日本が世界銀行からお金を借りて作ったもの」

日本も第二次世界大戦後に世界銀行からお金を借りてつくったものがたくさんあります。

まず、夢の超特急であった新幹線、日本の大動脈と言われた東名高速道路、さらに新幹線のために

つくられた新丹那トンネル、世紀の大工事と言われた黒部ダムなどです。

戦後日本は道路や鉄道、ダムなどのインフラ整備に、総額8億6000万ドル、現在の価値にすると

6兆円を世界銀行から低金利で借りました。

アメリカを中心としたブレトンウッズ体制が、日本の復興にも役立ったのです。

 

マーシャルプラン:第二次世界大戦後の1948年〜51年まで実施されたアメリカによるヨーロッパ

復興計画のこと。無償もしくは低金利で経済援助が行われた。

 

アメリカは資本主義のほうがいいんだということをかたちにする必要があったので、西ヨーロッパの

国々に莫大な資金援助を始めました。これを推し進めたアメリカの当時の国務長官の名前をとって、

この計画を「マーシャルプラン」と言います。

西ヨーロッパの国々はマーシャルプランによって援助された資金を使って、自動車、機械、鉄鋼など、

さまざまなものをアメリカから買うようになりました。

それによってまたアメリカの経済が発展するという、好循環が始まるようになります。

 

※   省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

マーシャルプランがOECDへと発展していった

OECDというのはもともとアメリカが西ヨーロッパを助けようとして始めたマーシャルプランに

端を発しているのです。

こうしてアメリカから大量のドルが世界に出ていったのです。

 

OECD経済協力開発機構:先進国34カ国が加盟する国際機関。

経済成長、貿易自由化、途上国支援に貢献することを目的とする。

本部はパリに置かれている。

 

ドルを使いすぎたアメリカ2—-冷戦

やがて東西冷戦の中でアメリカを中心とした資本主義の国々と、ソ連・中国を中心にした

社会主義の国々がにらみ合い、冷戦が始まっていきます。

コールドウォー、冷たい戦争と書きます。

実際には戦争をしないでにらみ合っているだけなので、このような言い方をします。

 

朝鮮戦争—これは北朝鮮と韓国の戦争ですが、アメリカは韓国を応援し、韓国に軍隊を派遣する。

戦争にはお金がかかりますから、このとき大量のドルが使われました。

 

ベトナム戦争—これは北ベトナムと南ベトナムの戦争ですが、アメリカは南ベトナムの資本主義体制を

守るために、最盛期には50万人の軍隊を南ベトナムに派遣しました。

そのベトナム戦争はやがて隣のカンボジア、あるいはさらにその先のラオスへと次々に広がって

いきます。アメリカはインドシナ半島の全域で軍事作戦を行い、ここでも莫大なお金が注ぎ込まれました。

ふと気がついてみれば、アメリカは大量のドルを世界中にばらまいていたのです。

 

冷戦:第二次世界大戦後、アメリカを中心にした資本主義国とソ連を中心とした社会主義国の対立のこと。

アメリカに1950年に朝鮮戦争、1960年にはベトナム戦争に介入し、経済の弱体化を招いた。

 

 

この続きは、次回に。

トップへ戻る