お問い合せ

超ロジカル思考 「ひらめき力」を引き出す発想トレーニング㉖

松下幸之助の教え

           「常に難しい方の道を選べ」

            Matsushita Konosuke

 

最後に登場するのは、「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助だ。

情報革命後の世界について話しているのに、松下幸之助は少し古すぎるのではないかと思う人も

いるかもしれない。

実際、幸之助さんは電気、物理、化学といった産業革命の時代の原理に基づき事業を成長させた人だ。

しかし、それだけであれば「神様」と呼ばれる存在にはならなかっただろう。

 

幸之助さんの書いた本の中に、『人を生かす経営』(PHP出版)がある。

幸之助さんは数多くの本を残しているおかげで、その発想法やモノの見方をいまでも克明に

たどることができる。

この『人を生かす経営』を読んでいると、幸之助さんは何か問題に直面したとき、必ず2つの選択肢を

用意して解決に当たっていたことがわかる。

 

Exercise  7-7

この後幸之助さんは、23銭と25銭のいずれを選んだのか考えてみてください。

また、そう決断した理由について考えてみましょう。

 

※   省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

幸之助さん自身意識はできないものの、無意識の世界に何かが引っかかり、自分でもよくわからない

うちに25銭を選択したのだ。それが、その後信用を勝ち取ることにつながる。

この『人を生かす経営』を読んでいると、これに似たような場面が何度か現れる。

 

幸之助さんは普通の人が歩もうとしない道をあえて選ぶことによって、世の中の真理を解明して

きたといえる。世の中に絶対的な真理などあるのかどうかは誰にもわからない。

人間が何千年もの間議論を続けてきて、いまだに結論の出ていないテーマだ。

ところが、幸之助さんは、「世の中には正しい道(真理)が必ずある」というところからスタートする。

「正しいことを実行していれば、必ず相手にもわかってもらえ、商売が繁盛する。その正しい商売の

道を広めることで社会が繁栄する」という風に世の中を見ているのだ。

このため、うまくいかないことがあると、「それは自分が正しい道を発見できていないからだ」と

考える。そして、2つの選択肢(つまり代替案)を立て、何が正しい道なのかを解明しようとする。

その結果、実際に真理を発見してしまうのだ。

普通の人はこの逆をやってしまうことが多い。自分は正しいことをしているという暗黙の前提に

立って、「うまくいかないのは環境が悪いからだ」「顧客は何もわかっていない」と考える。

このため、うまくいかないやり方を変えようとしない。

 

2つの選択肢を持つということは、頭の中にある解決策がポッと取り出して実行するのではなく、

自分自信もその効果に気づいていないような仮説をあえて立ててみることを意味する。

しかし、いま頭の中にない選択肢をたぐり寄せることは簡単ではない。

そのために幸之助さんがやってきたことが、「衆知を集める」ことだ。

 

インターネットより抜粋—

 

松下政経塾の窓-衆知を集める

松下政経塾 研修塾 塾頭 古山和宏(執筆)

指導者が「誤りなく事を進めていくためには、できる限り人の意見を聞かなくてはいけない。

一人の知恵というものは、所詮は衆知に及ばないのである。

人の意見を聞かない指導者はともすれば独善に陥り、あやまり易い。

また人心もそういう指導者からはしだいに離れていってしまう。」(『指導者の条件』)

「人間がその偉大な本質を正しく発揮し、幸せを逐次高めていくためには、何よりも多くの人々の

知恵を集めていかなくてはなりません。そして、そこに個々の知恵を越えた高い衆知、すなわち、

すぐれた知恵を生み出し、それによって正しい道を求めていくことが大切なのです。」

(『人間を考える』)

松下幸之助塾主は、「聞き上手」であったと多くの人の証言でよく語られます。

報告に行くと、話そうと用意した以上のことを結局話すことになることが多かったといいます。

報告の途中、しばしば、「それは面白いなあ」「君よく勉強しているなあ」という相槌が入る。

すると、報告するほうももっと聴いてもらいたいという気持ちになって、ついつい持っている情報を

ほとんど話す羽目になってしまう。したがって、塾主のところにはよく情報が集まったというのです。

そして、「衆知」と共に、「主座を保つ」ことの大切さについても語っています。

主座とは自らの拠って立つところを明確にし、主体性をもって事に当たることです。

衆知を集めることとは対極にある言葉かもしれませんが、もし、主座がなければ、人の言うことに

一々右往左往してしまうことにもなりかねません。やはり、衆知を集めていくためにも、

自らの判断基準や立脚点をはっきりさせた上で、人の意見に耳を傾けていかなければなりません。

塾主は、すでに自分の考えは、ほぼ決まっている場合でも、周囲の意見をよく聞いて、物事を

判断したといいます。

将に生涯を通じて、素直な心で情報を吟味して、結論を導いていく努力を実践していった

人だったのです。

「君の明らかなる所以の者は、兼聴すればなり。その暗き所以の者は、偏信すればなり。」

(『貞観政要』)という言葉があります。

兼聴とは多くの人の率直な意見に耳を傾け、その中から、これはと思う意見を採用すること。

偏信とは1人あるいは2-3人の言うことだけを信用することだと故・山本七平氏は解説しています。

将に、兼聴とは衆知を集めることに他なりません。とかくリーダーは裸の王様になりがちです。

そうならないためにも、主座を保って、素直に衆知を集める努力をしていかなければなりません。

 

「正しい道は必ずある」というスタンスに立ち、迷える多くの経営者たちにアドバイスを与え続け、

彼らが正しい道を見出すことを助けてきた。

その結果、「経営の神様」と呼ばれるまでになった。

いまでも幸之助さんのことを慕う人は多い。

まだ発見されていないだけで、「正して道は必ずある」というモノの見方は、ジェフ・ベゾスの

次の世界観に通じるものがある。

 

「世の中にはまだ発明されていないものがたくさんある。

今後新しく起きることもたくさんある。インターネットがいかに大きな影響をもたらすか、

まだ全然わかっておらず、だからすべては始まったばかりなのだ」

情報革命後の世界のように、環境自体が激しく変わる時代だからこそ、幸之助さんの生き方が

通用するのではないかと思えてならない。

 

Exercise  7-8

あなたが最近直面した問題に関して、2つの選択肢を考えてみましょう。

①  あなたが取った選択肢の他に、あなたが取らなかった「難しい方の選択肢」を考えてみてください。

②  また、仮に難しい方の選択肢を選んでいたとすれば、後にどのような効果が出てきたのかに

     ついても想像をめぐらしてみましょう。

 

 

 

この続きは、次回に。

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