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IoTビジネス入門 ⑰

第4章  IoTで変わる医療とヘルスケア

 

医療とヘルスケアの分野もIoTで変わっていきます。

自動運転カーや人口知能が普及し、好きな場所で好きなことをしながら生きていくことができるIoT社会。

そんな社会で医療はどうなるのか、また、ヘルスケアの分野はどうなっていくのかについて見ていきます。

 

■   医療で使われるIoT

 

医療分野もIoT化が始まっています。

インターネットを活用した医療というと、田舎に住む人が都会の経験豊富な医師に診断してもらう

ことができる「遠隔医療」についての話題があがりがちです。

こう言われると、自分にはあまり関係ないと思う人も多いかもしれませんが、実際はみなさんにも

関係がある話なのです。

 

例えば、海外旅行中に急に病気になった場合でもかかりつけの医師に診てもらうことができる、と

いったことをイメージすればわかるでしょう。

さまざまなセンサーを使ってカラダの情報を取得すると、その情報はクラウドを介して医師の元に

送られます。

遠く離れたところにいる医師は、センサーのデータや過去の病歴などを見ながら診断することができる

のです。ここで、ひとつ疑問が浮かばないでしょうか?

「いくら優秀な医師だとしても、遠隔で全国の患者を診ていくと医師の時間が足りなくなるのではないか?」

 

こう思った方は、鋭いです。実際、遠隔医療が実現したとしても、深刻な医師不足は解決しません。

医療分野のIoTにおいて、病気そのものを治すようなモノができるのであれば、それはとても素晴らしい

ことですが、そう簡単にはいきません。

この背景からか、現状では、早期発見、人口知能を活用した検査、診療時間の短期化などによって、

深刻な医師不足に貢献するモノが登場しています。

これらは、症状をセンシングし、解析することで医師をサポートします。

過去の病歴やカルテなどをクラウドに蓄積して人工知能がある程度の診断を行うことで、深刻な医師

不足を解決しようというのです。

これから説明する2つの例は、どちらもセンサーと人工知能を組み合わせて診断を助けるサービスです。

この例を見ながら医療で使われるIoTの在り方を見ていきましょう。

 

■   患者の初期診断を人工知能が担当する

 

子どもの急な発熱や病気を、家庭で簡単に診断できるサービスがあります。

米国のClinic Cloud は、診断キットを使うことで、初期診断を自分のスマートフォンで行うことができる

のです。

Clinic Cloudは「デジタル聴診器」と「タッチレス体温計」で構成されていて、スマートフォンと連携

して発熱、咳、喘息などの症状を診断することができます。

センシングされた情報と、病歴データなどを加味することで、すぐに対処すべき内容が何かを判断する

ことが可能なのです。また、データをクラウドにあげることで、遠隔地にいる医師の診断も受ける

ことができるので、初期診断の内容によっては、すぐに病院に来るよう指示をすることもできる。

こういったことは、スマートフォンの高機能化やクラウドサービスの進化によって可能となってきました。

一番身近なコンピュータであるスマートフォンが、以前であれば重い処理と敬遠されたようなことも

実現できるようになってきているのです。

重い処理や電子カルテデータなどがクラウドに配置されれば、スマートフォンさえあれば、いつでも

どこでも初期診断が可能となります。

電子カルテデータは個人情報なので、日本では簡単にクラウドに配置されない状況ではありますが、

仕組みとしてはすでにできています。

今後、クラウド上で電子カルテを1人1つずつ持つようになれば、過去の診察内容や薬の服用状況などを

理解したうえで、医師が判断できるようになります。

 

 

センシング(sensing)

センサーを利用して物理量や音・光・圧力・温度などを計測・判別すること。

 

 

 

 

この続きは、次回に。
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