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通勤大学実践MBA 事業計画書  ④

第2章 ビジネスプランの落とし穴と重要項目

 

2-1 ビジネスプランの実際

 

ビジネスプランにおいて、その目的が理解でき、必要な項目が記述されているだけでは目標の50%を

達したにすぎません。重要なのは、単に項目を埋めることではなく、内容をブラッシュアップして

“最良のもの”に近づけることです。

 

まずは徹底的にわかりやすく、かつ魂が込められた説得力のあるものに仕上げることが大切です。

さらに、その先には、仕上げたプランを利害関係者(ステークホルダー)に説明し、納得してもらうと

いう目標があります。

 

「ビジネスプランの書き方」についての本は多数出ています。

しかし、それらには「読み手だけではなく、書き手(当事者)の視点も含んだ具体的なプロセスを事前に

認識することの必要性」は書かれていません。

大切なのはその部分です。

実際にプランを書く際に必ずといっていいほど突きあたる壁を完全かつ正確に理解し、対応策を

考えることが重要になるのです。

そこで本章では、プランを書き始めてからプレゼンテーションに至るまでの時間軸など、実際に

ビジネスプランを活用するうえで重要な観点について述べています。

 

基本的には、出資側からの視点と、出資を受けるベンチャー企業側からの視点の双方を考慮して

注意点をまとめました。

 

 ビジネスプランの策定に必要な視点 ◉

 

  1. ベンチャーキャピタル(出資者側)の立場からの視点
  2. 自らビジネスプランを書き、出資依頼のプレゼンテーションをする立場(ベンチャー側)からの視点

 

2-2 時間的な余裕を持って作成する

 

資金調達には通常、予想以上に時間がかかります。

ビジネスプランを初めて提示してから実際に資金調達ができるまで、早くて1〜2カ月、

場合によっては1年近くもかかることがあります。

そのため、その期間を見越して早めにプランを作成することが大切です。

 

ベンチャーキャピタルを例に挙げると、通常は1人ないし少人数の担当者へのプレゼンテーションから

始まります。プレゼンが終了すると、担当者は社内での検討に入ります。

 

社内の他の人間が興味を示した場合は、別の担当者も含めたミーティングを何回か経て、

そのうえで興味があるとなると、次のデューディリジェンス(事業の精査)のプロセスに入ります。

このプロセスではより細かく事業の可能性について調査し、顧客や社員といった関係者に

ヒアリングなども行います。それから最終的な判断を下すのです。

 

ベンチャーキャピタルは通常、ファンドの投資家に対する説明責任があります。

そのため、たとえ興味のある事業だと直感的に思っても、ある程度の時間をかけた調査は

不可欠なのです。

資金調達に思わぬ時間がかかり、現金が不足してくると、どれほど自信がある経営者でも弱気に

なります。そして投資家は、そのような状況を優位な交渉材料と判断します。

したがって、結果的に不利な条件での契約に追い込まれてしまう可能性があります。

たとえば、現金が不足してきたため、かなり厳しい契約条件を承諾してベンチャーキャピタルに

出資してもらったところ、のちに事業が好転し、そのベンチャーキャピタルとの契約条件が非常に

大きな足かせになったというケースもあります。

つまり、早めにプランを作成して資金調達を介しすることが重要と言えます。

 

 ビジネスプランにかかる時間的な余裕を持たせる理由 ◉

 

1. ビジネスプランの提出から実際の資金調達までの時間にムラがある(1、2カ月〜1年)

2. 目標よりも時間がかかって現金が不足してくると、条件面において投資家に対する交渉力を

     失いやすい

                ↓

              これらのリスク回避のために時間的な余裕を持たせる

 

 

 

この続きは、次回に。

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