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通勤大学実践MBA 事業計画書  ⑬

第6章 事業立ち上げに必要なマインドセット

 

6-1 マインドセットの必要性

 

第5章までで、ビジネスプラン作成に際する重要項目や落とし穴、具体的なアクションプランの設定から

プレゼンテーションに至るまでの実践的なプロセスを見てきました。

注意すべきは、これらの多くは最低限必要なスキルやノウハウを含む経営のツールであることを

認識する必要があるという点です。

当然、これらのフレームワークや基礎なしには、事業の円滑な運営は成り立ちません。

一方、事業立ち上げ(起業)に際し、最も重要かつ困難な点は、“事業を継続させる”ということです。

社員を雇い、家賃を払い、毎月発生する固定費の圧力に負けずに、売上を出しながら事業を

継続させるということは並大抵のことではありません。

これらのマインドセット(思考様式)は、中小企業のオーナー社長が共通して保有する特性かもしれません。

多くの日本企業は、「加速するグローバル競争と社会への対応を積極的に進め—-」などと

いった戦略を掲げる反面、国内を中心にした中途半端かつスローペースなリスク作業に追われ、

ますます内向的になっています。

こういった環境の中で、個人が独立とともに起業したり、大企業の中であっても新規事業を

立ち上げたりする人材になるためには、常に強烈な危機感を持ち、自ら設定した目的達成のために

決して妥協をしない強い意志・信念が必要となります。

 

プランは自分の考え一つで厳しいものにも楽観的なものにもなります。

しかし、本当に事業で差が出るのは、単に「実行できるかどうか」といった客観的基準で決めた

プランの実行だけではありません。

その客観的基準をペースにして、「プラン以上の実績をどれほどつくっていけるか」といった、

プラスαの部分となるのです。

 

  事業立上げに必要なマインドセット  ◉

 

常に—–

  • 強烈な危機感
  • 自ら設定した目標達世のために決して妥協しない強い意志・信念

     ‖

    プラスαの力

 

 

6-2  事業立ち上げに必要な三素性

 

前項で述べた「強い意志」と併せて、既存の常識や枠を超えたビジネスに対する心構えも必要と

なります。たとえば、「弊社には、国際的に通用する人材が少ないから—–」と話す経営幹部が

よくいますが、残念ながらこのような経営幹部は〝事業運営に必要なマインドセットが欠如している〟と

いわざるを得ないケースが少なくありません。

 

彼らには、他人ではなく、まず自らリスクに立ち向かって行動しようとするリーダーシップ、

そして同類の文化を持った社内人材リソースを捕らえ、必要な人材・外部ネットワークを明日にでも

調達しようという意識やスピード、柔軟性がないのです。

 

事業立上げには、激しい競争環境で欠かすことのできない三素性のセットが必要です。

 

① 個の確立と異質な個との共生—組織としての行動から個のネットワーキングへ

 

組織(会社、国)の一員であるという以前に、個人(自分)のアイデンティティーを確立し、異質な

相手を積極的に受け入れてネットワークをつくり、プロジェクトをリードできる素性。

 

② オンリーワン志向—横並びおよびスケール志向から、独自のポジション確立へ

 

「人がやっているから」という横並び発想や、スケール志向(売上、シェア、保有資産、グループ

企業数、従業員数など)を放棄し、高付加価値志向(量より質)を前提にした、他との違う独自の

ポジションを確立してできる素性。

 

③ 異質の相手に対する優劣意識の放棄

 

(地域、国、宗教、年齢、性別、歴史、経験などが異なる)異質な相手(市場、従業員、株主、

事業パートナー、子会社など)と優越感や劣等感というフィルターを通してではなく、企業価値の

最大化に向けた存在価値や貢献度というフィルターで接することのできる素性。

 

  事業立ち上げに必要な3素性  ◉

     

      ① 個の確率と異質な個との共生

  ② オンリーワン志向

  ③ 異質な相手に対する優劣意識の放棄

 

 

 

この続きは、次回に。

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