お問い合せ

企業とは何か-⑬

利潤動機の有効性

利益は経済活動の客観点な基準である。

・手段としての利潤動機の有効性

  その一つは、人間が建設的たりうるのは創造の本能によってであるとする考えである。

  もう一つは、利潤動機がなくなれば、権力、特権、衝突、不正はなくなり、平等と平和が

  もたらされるとする考えである。すなわち地上に楽園がもたらされないのは利潤動機のせい

   とする。

 

利潤動機は支配欲の一つか

 人間の本性には支配欲がある。利潤動機はその支配欲の一つの現れである。

  したがって、利潤動機をなくせば、平和で平等な社会が実現されるのではなく、

 人間本性としての支配欲が利潤動機以外の形をとるだけである。

・歴史上の極悪人は守銭奴ではなかった

 

価格を基盤とする市場

 

・あらゆる社会が、自由企業体制が市場を通じて果たしている機能を必要とする。

   社会は財を配分しなければならない。

   一人ひとりの人間の欲求と行動を社会的に意味あるものとしなければならない。

・仕事は社会的な位地、つまり個としての尊厳の基盤である。

 いかに豊かな原始社会であろうとも、働くことがあって初めて文明が生まれる。

   人間社会は共に働くことを基盤とする。共に働くことの目的は、宗教、戦争、

    経済発展など多様でありうる。しかし、いずれも基盤となるものは仕事でなければ

    ならない。

・価格の役割とは何か

 市場は、価格を経済活動の決定要因とすることによって、この機能を果たす。

   財に対する請求権としての所得もまた、少なくとも理論的には、唯一の根拠としての

   生産活動への貢献に従って配分される。人の働きも金額という共通の尺度で表される。

 人の働き方も経済効率の観点から定められる。

   かくして経済活動のあり方は、市場価格によるコストの抑制によって定められる。

・非経済的な要因

・市場への批判

 第一に、市場は価格という経済的基準を絶対視するがゆえに、社会を破壊するとの

   批判であり、第二に市場は、個人の経済手は欲求を絶対視するがゆえに社会を破壊

   するとの批判である。この二つの批判が重要な意味をもつのは、まさにそれからが

    問題意識として正しいからである。

・経済発展を目標とする

 現代は、経済的目標が神格化された物質主義ともいうべき、時代である。

   今日の西洋では経済発展に代わるものは戦争しかない。

    経済発展を社会の目標にすることは社会にとって有害かもしれない。

    経済的な目標を追求する社会は、価格を基盤とする経済体制をもたなければならない。

    自由企業体制においては、経済活動と労働コストや資本形成など生産性と経済効率を

    左右する要因によって決定される。

    この意味において、自由企業体制は自然な体制である。

    そのため経済的目的を認める社会においては、価格中心主義が社会に安定をもたらす

    ことができる。

・個人の欲求を目標とする

 ・明らかに、社会の存続に関わりのあることは、コミュニティの問題である。

  すなわち政治的な意志決定の問題である。

 ・計画経済とは市場ではなく民主主義への攻撃である。

   つまり偉大な指導者の絶対支配、ないしは官僚支配の欲求である。

       ありていにいえば、計画経済が主張していることは、今日の状況のものでは、

       産業社会は民主主義政府をもちえないということである。

   計画経済信仰、自由市場信仰のいずれも、自由企業体制には二つの側面が

     あることを見逃している。一方が見逃しているのは、社会が一人ひとり人間の理想、

   欲求、ニーズを満たすための道具であるという個人中心の側面であり、もう一方が

     見逃しているのは個人が社会のために存在するという社会中心の側面である。

   いずれの社会も人間にとっては必要なものである。前者を欠けば蜜峰の巣であり、

   公社を欠けば狂人の館である。問題は両者の均衡である。

 

この続きは、次回に。

トップへ戻る