お問い合せ

チェンジ・リーダーの条件-30

○ トップ・チームを構築する

トップのチームが必要である。対策は簡単である。

必要となる前に、前もって構築しておくことである。

チームは一夜にしてならず。機能するようになるには時間がかかる。

チームは相互信頼と相互理解でできる。そのためには数年を要する。私の経験では三年以上かかる。

市場や人口などの客観的な指標によって、三年から五年後に倍の規模に成長することが明らかになったならば、間もなく必要となるトップ・チームの構築が急務となる。準備が必要となる。

第一に、創業者自身が、事業にとって特に重要な活動について、おもな人たちと相談しなければならない。

存続と成功がかかっている活動は何か、何が重要な活動かについては、あまり異論はないはずである。あらゆる組織に共通する重要な活動は二つしかない。

人のマネジメントと、資金のマネジメントである。

それ以外の活動は、事業や仕事、価値観や模起票を内部から見ている人たちが決めなければならない。

第二に、創業者などおもな人たちの一人ひとりが、「自分が得意とするものは何か。ほかの人たちが得意とするものは何か」を考えなければならない。

第三に、「それぞれの強みに応じて、誰がいずれの活動を担当すべきか。誰がどの活動に向いているか」を検討しなければならない。

こうして、ようやくトップ・チームが構築される。

第四に、重要な活動のすべてについて、目標を定めなければならない。製品、人的資源、資金のいずれにせよ、重要な活動に責任を負うことになったすべての人に対し、「何を期待できるか。何に責任を負ってもらえるか。何をいつまでに実現するつもりか」を問わなければならない。

 

○ 創業者はいかに貢献できるか

ベンチャーのマネジメントに関して重要なことを一つだけあげるとするならば、それはチームとしてのトップマネジメントの構築である。

しかし創業者自身にとっては、それは事の始まりにすぎない。

創業者たる起業家は、「何をしたいか」から考える。あるいは、せいぜい「自分は何に向いているか」を考える。しかし、正しい問いは、「客観的に見て、今後、事業にとって重要なことは何か」である。

創業者たる起業家は、この問いを、事業が大きく伸びたとき、さらには、製品、サービス、市場、あるいは必要とする人材が大きく変わったとき、必ず自問しなければならない。

次に問うべき質問は、「自分の強みは何か。事業にとって必要なことのうち自分が貢献できるもの、他に抜きんでて貢献できるものは何か」である。この問いを徹底的に考えて、初めて、「自分は何を行いたいか。何に価値をおいているか。残りの人生とまではいかなくとも、今後、何をしたいか」「それは事業にとって本当に必要か。基本的かつ不可欠な貢献か」を問うことができる。

 

○ 自分の得意、不得意を考える

[自分が何が得意で何が不得意か]との問いこそ、ベンチャーが成功しそうになったとたんに、創業者たる起業家が直面し、徹底的に考えなければ鳴らない問題である。しかし実は、そのはるか前から考えておくべきことである。

あるいは、ベンチャーを始める前に、すでに考えおくべきことかもしれない。

 

○  相談相手をもつ

創業者は、基本的な意思決定について話し合い、耳を傾けるべき相談相手を必要とする。そのような人間は、社内ではめったに見つからない。

創業者の判断やその強みを問題にできる人物が必要である。

創業者たる起業家に対し、質問をし、意思決定を評価し、そして何よりも、市場志向、財務見通し、トップ・チームの構築など、生き残りのための条件を満たすよう、たえず迫っていく必要がある。

これこそ、ベンチャーが起業家マネジメントを実現するための最大の要件である。

何よりも、ベンチャーは責任を必要とする。まさに、起業家がこの責任を果たせるようにすることが、起業家マネジメントである。

 

 

この続きは、次回に。

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