ドラッカーとの対話 未来を読みきる力 5
強味のネットワークを張れ
ドラッカーの「よい上役になる技術」についてもいくつか挙げてみよう。
第1にまず時間の使い方をよく知ること。
第2に、マネージャーというのはつねに外的貢献度で評価されるということ。
つまりマネージャーの行動が効率的であったかどうかは、商品なりサービスが
市場で評価されたかどうかで決まるということである。
第3に、組織はもうひとつの勘どころである強味論を採用して強味の上に築けということ。
人はそれぞれ、持ち味、長所、得手、得意技というものを持っている。
逆にいえば、それだけを頼りにひたむきに生きてきた弱い存在なのだ。
そういう人間が集まった組織というものは、いわば弱者の集団だが、築くことにかかっている。
経営とは、実はこの強味のネットワークづくりにほかならない、とドラッカーはくどいように言う。
第4に、何事をなくすにせよ、重点思考というか、優先順位を考えなければならないこと。
焦点を絞り込んでそこに力を集中することだ。
第5に、自分で意思決定ができること。
2章 ドラッカーの世界とその歩み
マネジメントの発明者
※ 省略致します。
その現代経営環境の認識は
※ 省略致します。
「組織を人に合わせよ」
これまでのドラッカーの著書が、アメリカ人以上に日本のビジネスマンに影響を与えた、
などと時々言われることがあるのは、
その(1)市場創造論、(2)革新論、(3)経営主体重視論が、
かつての高度成長時代にマッチしたからともいえよう。
しかし、『マネジメント』以降の各労作で説く(1)グローバル経営、(2)知識労働重視、
(3)社会的責任、(4)ノン・ビジネス・マネジメント、そして(5)人を組織に合わせるのばなく、
「組織を人に合わせよ」という主張を日本の経営関係者が今後はたして
どれだけ消化、吸収するのかという点こそが、まことに興味の持たれるところであり、
これからの大事な挑戦である。
この続きは、次回に。