お問い合せ

ドラッカーとの対話  未来を読みきる力 10

情報の持つ意味を見抜く

 

ドラッカーから学べる先見力の第1の要諦は、やはり情報に対する俊敏な触覚と、

そこでの意味の見抜きの重要性ではなかろうか。

ドラッカーの場合、確かに多くの最新情報を自分でもせっせと入手して勉強しているが、

各種のリポートや書籍やデータを読むと同時に、話をよく聞くというところにその特徴が見られる。

さらにドラッカーがいつも意図していることは「ミーニング(意味)のマネジメント」である。

すなわち、現在のような情報の洪水のただ中にあって、各データがいったいどういう意味を持つのか、

意味の構造はどう描けるかを、なんとか自分でまとめ、くくり直しながら思考を進めていく。

そして自分の今までの考え方の枠組では、そこでのミーニングが吸収できないと、

その枠を思い切って外して新しい仮枠を作る。

そしてその中に、そうした情報が整合性を持ってはめこまれるかどうかを、

ドラッカーは絶えず検証しようとする。

こうして古い枠を外して新しい思想を絶えず作り直していくところに、

ドラッカーの思想の秘密のひとつがあるように思えてならない。

したがって、単に最新情報が大事だといって、新しいものを吸い取ることだけに溺れずに、

同時に情報の持つ意味とそのつながりを汲み取っていくことこそが、

先見性の第1のカギとなるように思える。

 

「天が下に新しきものなし」

 

第2は、ドラッカーは革新を口にし、創造を重視するが、基本的には「天が下に新しきものなし」と

いう考え方に徹しているように思えることがある。

世の中には様々なファクターがあるが、それらは新しい組み合わせと新しいうねりであり、

一見新しい形で現れるように見えるけれど、基本的にそこでの素材はさして変わらない、

という発想がそこにあるのではなかろうか。

すなわち創造性の開発は、結局のところ組み合わせの発見であり、それらの組み合わせには

逆の組み合わせもあれば、並列の組み合わせもあるが、要は新しい組み合わせの発見にある、

とドラッカーは思っているのではなかろうか。

天が下に新しきものなし。

したがって新しき組み合わせを、あるいは現在の組み合わせを超越した別の組み合わせを

見抜こうというところに、ドラッカーの発想のもうひとつの根源があるように思えてならない。

 

この続きは、次回に。

 

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