ドラッカーとの対話 未来を読みきる力 48
第7部 ドラッカーの人間像
22章 人間ドラッカーのダイナミクス
□ 暖かい人柄と厳しく人間存在を見つめる目
本書では、従来のドラッカーの労作や内外の研究者の分析の上に、さらに屋上屋を架するのではなく、
まず第1に、なるべく直接聞いた話として、私自身のフィルターを通して吸収したものを
生の形で提示しようと試みた。
第2に、客観的なハードな経済論や経営論議ではなくて、生身のドラッカーの一端になるべく触れて、
それをじかにご紹介しようと努力した。
まず、内外の多くの方々が述べているように、その暖かいお人柄である。
第3にお伝えしたいのは、見えないところで行われているドラッカーの厳しい自己鍛錬についである。
温厚と峻厳、ソフトとハード、冷徹な論理とあふれる情感、傍観者としてのクールな眼と
参加者としてのホットなほとばしり、それらが絶えず内面で作用し、相互にせめぎ合う中でドラッカーは、
絶えず決定論を排して未来の可能性を見つめているように思えてならない。
付録ドラッカーをめぐるミニクイズ
さて最後にまとめとして、ドラッカーの人と歩みと考え方のアウトラインを確認する意味で、
Q&Aを行う。
1.ドラッカーの最初の代表的経営書は?
1954年出版の原著『ザ・プラクティス・オブ・マネジメント(経営の実践)
2.ドラッカーの経営学の特徴は?
「経営者主体経営学」
3.ドラッカーの名言としての著名なものは?
「ビルド・オン・ストレングス~強味の上におのれを築け」という言葉。
4.ドラッカーによると時間とは?
「貴重な資源」
5.ドラッカーは?
オーストラリア人。のちにアメリカに帰化し、現在はアメリカ人。
6.ドラッカーの著書でないものは?
ドラッカーの代表作は『乱気流の時代』『断絶の時代』『新しい現実』。
7.ドラッカーの経営学の根本理念でないものは?
彼の考え方の一番のエッセンスは「企業とは環境適応業」であり、したがって
「市場においては創造の機会をつかむこと」そして「イノベーションを遂行する」こと。
8.ドラッカーに大きな影響を与えたアメリカ人は?
アルフレッド・スローン。彼はGMの中興の祖といわれる人で、
事業部等の考え方を生み出した。
9.ドラッカーに大きな影響を与えた日本人は?
渋沢栄一
10. ドラッカー(Drucker)というドイツ語の意味は?
ドイツ語で、〝押す人〟
11. ドラッカーによると効果性は何から生まれる?
コンセントレーションあるいはフォーカス、すなわち〝集中〟
12. ドラッカーによると利益とは?
社会での受け入れ方の成果。つまり利益とは目的ではなく結果であると逆転させたところが、
ドラッカー経営学の特徴の1つ。
13. ドラッカーによる、事業の定義づけの3大前提条件でないものは?
3大前提条件は、 ① わが社の特定の使命は何か、
② 中核となる強み、
③ 経営環境に関する見方、 の3つ。
14. 「事業の定義」として正しくないものは?
事業とは、決して永遠不変なものではなく、恒常的に検証されるべきであり、
組織全体で理解されなければならない、と述べていることに注目しよう。
この続きは、次回に。