知識ゼロからのイノベーション入門⑮
第4話 猛烈に働く時代があることがイノベーターの条件。
・ 1日12時間、週6日働く
1日12時間、週6日働くのは当然。
ライフスタイルが「24時間年中無休」だった。
・ 環境を整えて猛烈に働かせる
ペイジは「本当に一生懸命に働いた。最終的には実を結んだけれど、まったく大変だった。
すごく努力しなければならなかった」と振り返り、「インスピレーションを得るには、
たくさんの汗(パースピレーション)が必要だった」とも言っている。
猛烈な仕事ぶりは、グーグルが成長しても変わることはなかった。
グーグルは「エンジニアの楽園」と呼ばれるほどの福利厚生を誇る。
変革は、ハードワークをいとわない職場環境で進められるのだ。
第5話 予備知識はイノベーションの敵。大胆に進める。
ペイジとブリンはコンピュータと数学の天才だが、企業で働いた経験がない。
にもかかわらずグーグルを成功に導いた。
ペイジは「僕らは予備知識がなかったから、これまでとは違うやり方を試すことに
抵抗がなかった」と言い、ブリンも「過去の経験は有利に働くこともあるけど、
マイナスにもなる」と言っている。
「予備知識が多すぎることは、イノベーションを阻害しかねない」
確かに、事態を知りすぎていると困難だと結論づけがちだ。
「前にやったけどダメだった」「経験からすると無理だね」などと、できない理由を
数え上げてしまう。
ペイジは「目標に向かう時は、ちょっとだけ間抜けでなくちゃいけない」と言う。
「不可能に思えることは、できるだけ無視の姿勢で臨むこと」という言葉を座右の銘に、
できるはずがないことに挑戦すべきだと考える。
予備知識や経験は、保守や再生産にはプラスに働くことが多いが、創造や改革には
マイナスに働くことがしばしばだ。
グーグルは経験のなさをプラスと考えることでイノベーションを起こし続けている。
第6話 失敗を恐れるな。ダメなら次を試せばいい。
・ 急ぐための失敗は許される
グーグルの特徴はスビードへの執着だ。
急ぐあまりに失敗もするが、それでも次々と新プロジェクトを立ち上げて急成長を目指す。
副社長だったシェリル・サンドバーグ(現在はフェイスブック最高執行責任者)は、
こんな経験をしている。
非営利団体の広告を無料で掲載するプロジェクトの展開を急ぐあまり、ある大失敗をしてしまった。
それをペイジに謝ったところ、「早く、大胆に進めすぎたための失敗だからいいんだよ。
僕は喜んでいるくらいさ。進め方が遅く、機会を逸していたのならすごく怒ったけどね」と答え、
サンドバーグは一切責められなかったという。
・ グーグルは「一発屋」か
それにしてもグーグルの失敗は多すぎた。
ラジオ広告の販売で大損。
新聞広告の販売で大損。
テレビ広告の販売も大損だった。
ただ一つ、ターゲット広告だけが成功で、数十億ドルの利益をもたらしてくれた。
マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマーは、それを「一発屋」と揶揄した。
「グーグルの収入は1つの製品に依存していて、それは5年間変わっていない。
数だけはたくさん投げているが、壁に当たったのはたった一球じゃないか」というわけだ。
グーグルの検索の素晴らしさは認める。ではそれ以外はどうなのか、という批判だった。
グーグルCEOだったエリック・シュミットは「確かにグーグルは一発屋なんだろうが、
今の芸が気に入っているのさ」と応じ、「中にはうまくいかないものもあるだろうが、
うまくいかなきゃ次に移るだけさ」と続けた。
この続きは、次回に。