会計は「ザックリ」のほうがよくわかる! ④
第1章 苦手な数字を克服する ザックリ把握力 その1
〔ポイント〕
□ パレートの法則とザックリ把握力のよい関係
「パレートの法則」、あるいは「80:20の法則」という言葉を、どこかで耳にされたことが
あると思います。
「売上の80%は、全顧客の上位20%が生み出している」、
「売上の80%は、全商品の上位20%が生み出している」、
「故障の80%は、故障原因の上位20%で説明できる」などと言われる、全体の数値の大部分は、
全体を構成する一部の要素が生み出している法則です。
19世紀終わりにイタリア経済学者ヴィルフレド・パレードが、各国の所得分配の統計的研究を行い、
経済・社会体制が異なる国々においても、あるいは異なる時期においても、20%の
高額所得者のもとに社会全体の80%の富が集中し、残りの20%の富が80%の低所得者に
配分されているということを明らかにしたことから、「パレードの法則」と呼ばれています。
この法則を当てはめれば、会計を勉強する際も、まずは重要な20%だけを理解すれば、
会計80%は理解できていることになります。
品質管理、マーケティング、在庫管理などでは、実際のデータを使って「パレード分析」を行い、
経営管理に役立てます。
さて、「パレート分析」とは、
① 構成要素を現れる頻度の高い順に並べる。
② 構成要素の構成比率の累計を算出する。
③ 構成要素をAグループ(80%)、Bグループ(90%)、Cグループ(100%)と累計比率に
よってグループ分けすることにより、構成要素の重要度や優先度等を
明らかにするための分析方法です。
「パレート分析」をグラフ化したものを「パレード図」と呼びます。
「パレート図」を作成することで、全体の項目の中で、それぞれの項目の占める割合が
視覚的に一目瞭然となるメリットがあります。
そんなことから、品質管理の世界では、「パレート図」は「QC(品質管理)の7つ道具」の
ひとつとして、品質改善運動になくてはならない技法となっています。
企業の経営資源は限られているので、企業を経営する上では、大きな効果を望めるものに
資源を集中的に配分しなければなりません。
したがって、こうし重点志向の考え方により、効率的にものごと進めたり、管理したり、
改善することが重要です。
「パレート分析」と「パレート図」を使えば、全体の少数を占めるAグループを重点的に
ケアすることによって、結果的に大きな効果が得られる可能性があるという、かなり
ありがたい話になります。
何らかの改善を企図する場合には、まずAグループを対象として始めれば、結果としての
改善の度合いが高く、改善活動の優先を簡単につけることができるというわけです。
さらにもっと改善する必要があれば、次のステップでBグループまで対象とすればよいのです。
□ マクロ視点で決算書を理解する
ご自分の興味のある会社の財務諸表をインターネット等から入手してみてください。
まずは、売上をいくら上げて、いくらのお金を調達して、どのような資産がいくらずつ
あるのかを、ざっとチェックしてみてください。
その際、「売上に比べると利益はどうか」、「売上に比べると売掛金はどうか」、
「売掛金と比べると買掛金はどうか」などと、マクロ視点で財務諸表を見ながら、
数字を相対的に捉えるようにしてみてください。
財務諸表自体には絶対的な数字が記載されていますが、数字自体が意味を持つためには
相対的な尺度ではわかりません。
同じ業界の他者の売上、その会社の前年度売上あるいは今年度の予算、掛かった経費や
儲かった利益といった他の数字との相対的な関係の中で理解することが重要です。
また、現金がいくら、売掛金がいくらあると言って絶対的な残高がわかっても、
その本来の意味は資金繰りとの関係で考えないとわかりません。
また、過年度分や同業他社の貸借対照表と比較してみないことには、財務状態がいいのか
悪いのかもわかりにくいと思います。
この続きは、次回に。