会計は「ザックリ」のほうがよくわかる! ⑫
⚪ ザックリ仮説力の相棒は分析・検証
プラン、バジェット、フォーキャストを策定する際に大切なことは、ザックリと仮説を
立てることだと思います。
まずは、大きなシナリオを描き、それに沿った仮説を立て、具体的に数値化するための
Assumptionsを決め、アウトラインを数字で実際に作ってみることです。
いわゆるシミュレーションです。
具体的に数値化することで、イメージがつかみやすくなり、仮説の確からしさを分析・
検証できるようになります。
その結果をまた仮説にフィードバックすることで、ドンドンと仮説を昇華させ、
よりリアリティのあるビジネス・シナリオとなっていきます。
よりよい仮説を立てるためには、これまでのアクチュアル(実績の数字)の大きなトレンド(流れ)を
理解し、どうしてこういう結果が出ているのかについてのバックグラウンドをしっかり
理解しておくことも必要です。
そのためには、バジェット、フォーキャストで想定していた状況、条件がどう変わり、
アクチュアルの結果全体にどういった影響を及ぼしているかについて、常に分析・検証を
しておくことが大切です。
例えば、今期トータルの売上高がバジェットをほぼ達成していたとしても、新商品Aが
バジェットの想定よりも売れて、既存商品この落ち込みをカバーしているケースもあります。
あるいは、売上高はバジェットよりも10%も増加したのにもかかわらず、円安で原材料価格が高騰し、
粗利益率(売上総利益率)が50%から45%に悪化したため、結果的に粗利益(売上総利益)は1%
減ってしまうというケースもあり得ます。また、売上高が予算より10%アップし、
粗利益率も予算通りでしたが、人件費、広告宣伝費や販売促進費等が増加し販管費トータルで
対予算10%オーバーとなってしまったために、営業利益率は全く変わらないというケースもあります。
実際には、もっと複雑な状況が起こり得ますから、プラン、バジェット、フォーキャストを
立てる段になって、急に「シナリオを描く」「仮説を立てる」と言っても、うまく描いたり
立てたりすることはできません。
日頃から、バジェット→アクチュアル→フォーキャストという流れの中で、Plan→Do→Seeの
PDSサイクルを意識して、アクチュアルの分析・検証をしっかりと行っておくことが大切なのである。
さて、分析・検証というと何か難しそうな感じがしますが、実際にはアクチュアルvs.バジェット、
アクチュアルvs.フォーキャストという差異分析と、アクチュアルと前月(Prior Month)、
前年(Prior Year)などどの増減分析が基本となります。
差異や増減の大きさを%で測り、大きな差異や増減が出ているものについては原因を
究明していくというのがベイシックなアプローチです。
その際、各項目について平たくアプローチしていくのではなく、売上やグロス・プロフィット、
SG&A(販管費)などの重要で大きな項目から優先順位をつけながら分析するようにしてください。
もし大きな変動があれば、もちろんその原因を詳しく分析する必要がありますが、
仮に大きく変動していない場合にも、どうして変動していないのか、中身についても
変動していないのかなどと細かな分析が大切です。
この続きは、次回に。