認知症にならないための 決定的予防法⑥
2 アルツハイマー病—発症する可能性は?
自分がアルツハイマーになるリスクを理解する
アルツハイマー病を引き起こす原因は70%以上、生活習慣だと私は考えます。
となると、あらゆる手をつくしてアルツハイマー病を避けることが、アルツハイマーを防ぐ
4ステップの処方箋を実践するうえでの、究極的な目的になるはずです。
危険因子とは何か?
危険因子は人が病気をわずらい、健康上の問題をかかえやすい状況や習慣のことです。
メタボリック・シンドローム(インスリン抵抗性症候群)の人は、アルツハイマー病を発症する
危険が大きいことが研究からわかっています。
私たちができる限り抑えなければならない二つの危険因子(1) 睡眠不足と(2) 抑制できない
ストレスもあります。
私はそれらを歩哨危険因子[センティネル・リスク・ファクター]と呼んでいます。
自分のやるべきことをうまくこなしていて、充分な睡眠をとって休息も得られていると
感じているときは、バランスのとれた食事と運動をつづけるのは容易です。
したがって、健康な食事運動プログラムをきちんと守れているときは、肥満、高血圧、
2型糖尿病などの問題(いずれもアルツハイマー病の外因性の危険因子を生じる確率を
減らしているのです。
4ステップのプログラムでは、あなたの二つの歩哨危険因子をコントロールする簡単な
戦略を学ぶことになります。
四つのステップを予防のための作戦に使えば、脳の認知機能を高め、70代、80代どころか、
さらに高齢になっても活動的で生産的な人生を送りつづけることができます。
内因性の危険因子—加齢
加齢とアルツハイマー病についてわかること
あらゆる危険因子のうち、加齢はアルツハイマー病の最も強力な決定要因です。
アルツハイマー病の有病率は60歳から65歳までは約1%ですが、75歳から80歳では一気に
33%に増加します。
さらに85歳になると、アルツハイマー病の有病率は50%にまで急増します。
アルツハイマーには女性のほうが男性よりもなりやすく、年齢差を考慮してもそれは変わりません。
新たな研究が重ねられても、アルツハイマーの患者数は年齢とともに急激に増大し、
85歳までくると横ばいになることを、研究者らは確認しています。
そうなる理由としては、遺伝的にアルツハイマーになりやすい人は、85歳までにすでに
発症しているからかもしれません。
加齢の理論
人はなぜ老いるのかを説明する理論はたくさんあります。
その理由は、フリーラジカル(活性酸素の一つ)によって体のタンパク質が退化すると
いうものから、細胞に有毒な老廃物がたまる、遺伝子が変異する、自己免疫反応(炎症や、
体が体そのものにアレルギー反応を起こすこと)まて、多岐にわたります。これ以外にも
老化はストレスにたいする進行的な反応だと考える見方など、いくつもの理論があります。
さらに、老化は代謝率が変わった結果だとか、神経系が徐々に劣化していくことだとする
理論もあります。
実際には、老化の原因は、最も優秀な科学者にとっても謎でありつづけています。
この続きは、次回に。