第2回 認知症医療介護推進フォーラム ⑥
認知症ケアの矛盾
認知症の人が病気で入院したり施設に入所したりする場合、生活環境が変わり、
入院や入所の理由が理解できないために混乱することが多く、抵抗して暴れたり治療を
拒否することも少なくありません。
そのため、病院や施設は、やむを得ず認知症の人を拘束したり鎮静剤を使ったりすることも
あるようです。
しかし、そのような方法で認知症の人が体を動かせなくなると、全身の機能が低下して、
治療しているのに全身状態が悪くなるという矛盾を招くことになります。
これでは、認知症の人だけでなくケアをする職員も心が折れてしまいそうです。
ユマニチュードの効果
フランスの病院では、ユマニチュードを導入した結果、薬の使用を減らせたり、職員の負担が
減って退職者が減る等の効果も出ているそうです。
治療を拒否していた人が素直に治療を受けるようになり、職員に対して言葉を荒げていた人が、
「ありがとう」と言うようになったという報告もあるようです。
ユマニチュードは時間が掛かる方法のようにも見えますので、業務に追われて忙しい職員が
実際にこの方法を使えるのだろうかと疑問を感じるかもしれません。
しかし、ユマニチュードにより認知症の人と良好なコミュニケーションを取り、人格を大切に
してケアすることで効果が現れると、認知症の人も職員もかえって負担が軽くなるわけです。
ケアの方法を変えただけで認知症の人も職員も共に変われるとは、とてもすばらしいことでは
ないでしょうか。
◽️ ヒエラルキー
ヒエラルキー(ドイツ語: Hierarchie、ヒエラルヒー、英語: hierarchy、ハイァラーキ)とは、
階層制や階級制のことであり、主にピラミッド型の段階的組織構造のことを指す。
元々は、聖職者の支配構造であった。
かつてのカトリック教会や正教会などが、この言葉の現代的意味において「階層的な」組織を持っていたことに起源がある。
現代では、社会システムのそのものから企業体系など広義の意味で用いられているが、一般的には
「ヒエラルキーの崩壊、打倒」など、マイナスのイメージとして使われることが多く、かつ、
ヒエラルキーという構造そのものではなく、ヒエラルキーの上層のみを特定した意味で用いられることが多い。
この続きは、次回に。