認知症にならないための 決定的予防法-60
7 ステップ4—-休息と回復 自分の静かな世界を見つける
あなたはいかかでしょうか?
あわただしいライフスタイルと、毎晩、数時間だけの睡眠が、アルツハイマー病につながりは
しないでしょうか?
イライラしているのに、どうにもならない?
誰もがそんなふうに感じてはいないでしょうか?
ストレス+睡眠不足=二倍のダメージ
アルツハイマーを防ぐ処方箋のこの最後のステップでは、ストレスと睡眠不足が重なることによる
二倍のダメージについて考え、これがアルツハイマー病になる確率をどう高めるのかを深く
掘りさげてみたいと思います。
慢性ストレスによって、体内のコルチゾールの値が極端に高いままになると、ホルモンのバランスが
大幅に崩れ、炎症が起こり、脳の神経伝達物質が機能不全になります。
睡眠不足に関する新しい研究結果をご紹介し、それが体内の炎症促進性のマーカーをいかに
増加させ、肥満、2型糖尿病、それにアルツハイマー病が急増する一因となっている可能性が
あるかを伝えます。さらに、炎症と肥満がどちらも、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のような深刻な
睡眠障害といかに関係しているかも説明します。
OSAは夜のあいだに何度も、文字どおり呼吸が止まる(無呼吸と呼ばれる時間)問題です。
OSAは加齢とともにより頻繁に見られるようになり、アルツハイマー病の危険因子となっています。
最終的に、みなさんがくつろいだ気分になってよく眠り、社会的な活動が楽しめるように
なることを私は願っています。
しっかりした社会的な絆をもち、宗教的または精神的な習慣を実践する目的を、もった人生を
送ることが、アルツハイマーになる可能性を減らすうえで重要な方法なのです。
さらに、脳のなかの神経伝達物質や受容体部位を最大限に活用して、コルチゾールの値が体や
脳に混乱を引き起こさないように努め、ストレスのなかでも成功し、アルツハイマーの危険を
減らす能力を最も高める方法もご紹介しましょう。
ストレスと脳
簡単に言うと、ストレスは日々のなかで体験する多くの要求—身体的、精神的、情動的、
化学的な要求—を表します。
この言葉にはストレスになる状況、つまりストレス要因と、ストレスを受けて体験する症状、
ストレス反応が含まれます。
ストレスは有害なもの(ディストレス)にもなれば、有益なもの(ユーストレス)にもなります。
第114回アメリカ心理学会年次大会で発表された研究では、生物学的あるいは行動上のストレス反応は、
ストレスを受けたあとは順応性があるとはいえ、それが長いあいだつづくと損傷を与えうるという
証拠が示されました。
言い換えると、急性ストレスや短期のストレスは免疫機能を高め、記憶力を増すかもしれませんが、
慢性的あるいは長期のストレスにはその反対の効果があるのです。
そうしたストレスは認知機能障害につながるだけでなく、高血圧、うつ病、2型糖尿病、
さらには癌などの深刻な病気にも発展するのです。
この続きは、次回に。