認知症にならないための 決定的予防法-62
慢性ストレスの兆候と症状
ストレスの兆候は人によって異なります。
一般的には、神経伝達物質のアドレナリンとノルアドレナリンによってストレスの兆候が増します。
反対に、くつろいでいる兆候は、セロトニンやドーパミンなど別の神経伝達物質や、迷走神経系に
よって引き起こされます。
ストレスによって頭のてっぺんから爪先まで、体に現われる急性の兆候は、瞳孔の散大、
口の乾燥、それに筋肉のこわばりです。
顎の筋肉に始まり、僧帽筋、つまり首や肩の筋肉が凝るようになります。
息をするのが困難に感じられ、呼吸回数が増えると、過呼吸するようになり、それにつづいて
息切れと手足のしびれが特徴であるパニック発作が起こります。
破滅が差し迫っているような感覚があり、手足はますます冷たくなります。
夜間にはとくに、歯を食いしばるようになり、歯のエナメル質が摩滅してきます。
慢性のストレスのそのほかの特徴としては、緊張性頭痛、それに胃潰瘍などがあります。
自分のストレスの兆候に注意を払うことは、食べるものや、睡眠時間に気を配るのと同じくらい
大切なことです。
なぜ睡眠が重要なのか
通常、私たちは約六回の睡眠周期を繰り返しています。[各周期内で]睡眠には四つの段階もあり、
さらに急速眼球運動(REM、レム)睡眠もあります。
最も深い眠りの段階(第三および第四)は、ドーパミン、セロトニンをはじめとする神経伝達物質を
充分に生成するのに必要なものです。
レム睡眠は記憶を整理し、格納するのに役立ちます。
こうした段階が妨げられることは、脳にも体にも多大な損害をもたらします。
ドーパミンはやる気を起こす、あるいは快楽をもたらす神経伝達物質で、意欲をわかせ、
よい習慣を推進させます。
ドーパミンが少ない人は、うつ病や依存症など、神経学的な問題が生じる確率が高まります。
セロトニンは、「大丈夫、できる」と思わせる神経伝達物質で、人をくつろがせ、落ち着かせるので、
よく眠れるようになり、楽にものごとを処理できるようになります。
セロトニンは松果体ホルモンのメラトニンを刺激し、そのおかげで夜になると眠りに誘われるように
なります。
睡眠が不足すると食欲と体重が増える
医学雑誌『スリープ』に発表された、健康なボランティア被験者を対象とした最近の研究では、
夜の睡眠時間が2時間から4時間しかない人は、7時間以上の睡眠をとっている被験者にくらべて、
200%以上も肥満になる可能性が高いことがわかっています。
これらの研究は、睡眠が不足すると、代謝率を高め、空腹感を減らすレプチンというホルモンが
低くなることを示しています。
睡眠不足、つまり睡眠時間が短いことが、グレリン[胃から分泌されるペプチド・ホルモン]の濃度を
高めると思われ、そのため空腹感が増すのです。
こうした研究とイッチして、一晩の睡眠時間が6,7時間を下回る人は、糖尿病になる危険が高いという
証拠も増えています。
睡眠が6日間連続で4時間しかとれないと、血糖値を一定にする体の能力がいちじるしく衰えると、
彼らは結論しています。
これはおそらく、睡眠不足が体の免疫機能に影響をおよぼすためでしょう。
ある研究では、全睡眠時間が45%減ると、細胞性免疫が30%近く減ることが判明しています。
ぐっすりと眠ることが、いまでは健康を維持し、病気を防ぐための基本的な防衛メカニズムであると
考えられています。
毎晩、7時間から8時間の睡眠をとることが、アルツハイマーになる危険を高める肥満や糖尿病などの
症状にたいする最良の防衛策なのです。
この続きは、次回に。