『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』⑧
18.「エクセル1」でプレゼン資料を作る
続いて、実際の目的に沿った「エクセル1」の使い方をお伝えしていきましょう。
ここでは、新規企画提案のプレゼン資料を作るケースを例に説明します。
この時まず考えるべきは、「そもそも何でこの資料を作るのか?」です。
そこで、資料の「読み手(聞き手、伝える相手)」と「目的」を明確にします。
・ 資料の読み手—上司
・ 資料の目的—企画内容について理解してもらうこと。結果として、上司から企画のゴーサインを
とりつけること。
続いて、「プレゼンを行った際に相手が聞いてきそうな質問は何か?」を考えます。
そしてテーマに対する答えを、青色のペンで残りのフレームの中に書いていきます。
そして、書き出した質問のうち、「読み手がもっとも知りたそうなものはどれか?」を考えます。
質問を確定したら、その質問に対して、再び「エクセル1」を買って答えを出していきます。
書きながら新たな疑問が出てきたときは—–
新規の企画提案の資料であれば、商品の強みを挙げたあと、おそらく読み手は「どうしてそれが
強みといえるのか?」という疑問を持つでしょう。
このように、新たな疑問が生まれたら、再び別の「エクセル1」を作り、青色ペンでキーワードを埋め、
赤色ペンでまとめる、という作業を行っていきます。
19.まとめるときのキーワードは「ひとことで言うと?」
基本的には皆、知りたいことや知っておくべきことについては、できるだけ短時間で、簡単に
理解したいと思っている。
それは、書類の読み手や受け手にとって同じことです。
そこで、「紙1枚」にまとめるときにも、「ひとことで言うと?」という問いが大事なキーになります。
1つに絞りきれなければ最大3つまでOK
甲乙がつけがたく1つに絞れない場合は、最大1つまで選んで丸で囲います。
20.より一層相手に伝わりやすくなる「とっておきの工夫」
多くのひとが「伝わらない」という悩みを抱えている理由は、そもそも伝える前に考えをまとめて
いないからです。では、なぜ考えをまとめられないかといえば、考えるベースとなる情報を
整理しないまま考えようとしているからです。
緑色と青色のペンを使って情報を整理し、赤色のペンを使って考えをまとめていく。
この手順が自覚的に身につけば、それだけでわかりやすく「伝える」ことは十分に可能です。
ただ、「1枚」の機能をより高め、より一層相手に伝わりやすいものにするなら、伝え方に
工夫できる点があります。
チャンスを逃さない人がやっている「ある動作」とは?
それは、「書類を見せながら、指をさす」ということ。
見せながら、指をさす——-。
本当に些細な動作です。しかしそのちょっとした工夫で、それ以前に比べて相手の注意をグッと
引きつけることができ、伝わりやすさも大きく変わることを実感したのです。
21.「構造」を示せば聞き手は耳を傾けてくれる
誰かに何かを伝えるとき、まずは話の「構造」を先に示してあげると、相手はより短時間で、
より正確に理解してくれるようになります。
このように、聞き手は、話し手の話し方の構造がわかると、聞きやすさが増して「聞こう」と
いう気になります。話の内容がどっちの方向へ進むのかわからない話は、よほどおもしろい話で
ない限り、聞き手の集中力を削ぎます。
伝え方に困ったときの「構造フレーズ」
次の例のように、これから話す内容の方向性をあらかじめ言ってあげればいいのです。
「この企画のいちばんの強みをひとことで言うと—」
「理由は3つあります。まず1つめは—-」
「実現は3つのステップで進めます。第1ステップは—-」
「1枚」をまとめる際に、3つのポイントに絞ることを重視したのは、よりわかりやすく伝えるための
構造作りでもあるのです。
ちなみに、ここで「3つ」にこだわるのには理由があります。
それは、「3」という数が、人が一度に覚えるのにもっとも適当な数だからです。
人が一度に把握できる情報の数は、だいたい3つまでが妥当なのです。
さらには、3つの場合、「ホップ、ステップ、ジャンプ」のように、相手にサプライズの効果を
与えることもできます。
常に3つにまとめようとすることで、こちらが望む反応を返してもらえる可能性も一段と
高まるわけです。
この続きは、次回に。