池上 彰のやさしい経済学2 ニュースがわかる ⑦
口座振込みは日銀の当座預金を介して行われる
それでは日銀の金利誘導がどのようなしくみで行われているのか説明します。
各銀行は日銀に当座預金を持っています。
D地方銀行から振り込まれたお金は、A都市銀行の口座へ動くときに日銀の当座預金を通って
この中でお金のやり取りが行われるのです。このコンピューターシステムのことを日銀ネットと言います。
厳密に言えば、それぞれの銀行のコンピューターで操作が行われ、さらにそこから他の銀行へ
お金が動くときにこの日銀の当座預金を通るというやり方をとります。
日本銀行の出資者:日本銀行は認可法人で、株のように売買できる出資証券を発行していて、
ジャスダックに上場しています。いちばんの出資者は財務大臣です。
日本銀行法で資本金の55%以上を日本政府が所有すると定められているのです。
日銀ネット:日本銀行金融ネットワークシステムのこと。金融機関と日銀の間をオンラインで接続し、
当座預金の振替などの各種取引を金融機関の端末操作によって決済する。
銀行間では短期の資金の貸し借りが行われている
ニホン銀行? ニッポン銀行?
お札を見るとローマ字で「NIPPON GINKO」と印刷されていました。
これを契機に日本銀行はニッポンぎんこうで統一されることになったのです。
コール市場:金融機関相互の短期の貸し付け、借り入れの市場のこと。
短期金融市場で「呼べばこたえる」という機動性が高い賃借なのでコール市場の名が生じた。
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日銀は民間銀行と国債を売り買いすることで金利を誘導している
日銀はこのコール市場に介入し、金利誘導を行います。
では、どのようにして誘導するのでしょうか。ここでも需要と供給が出てきます。
お金を貸したいという人がたくさんいれば金利は下がってきますし、お金を借りたいという人が
多ければ金利は上がってきます。
金利を下げたいという場合、日銀は銀行が保有する国債を買います。
逆に金利を上げたい時は、日銀が保有する国債を銀行に売ります。
現在、国債はすべて電子化され、実際の取引はコンピューター上で行われています。
国債を売り買いして銀行間でやりとりされるお金の量を調節して金利をコントロールし、
金融政策を実施しているということです。これを「公開市場操作」と言います。
国債を買うことを「買いオペ」、国債を売ることを「売りオペ」と言います。
オペというのはオペレーションのことです。
日本銀行は毎月のように会議を開いて、日本の景気を少しでもよくしようと議論をし、
金利をいくらにするかという目標をつくります。これが政策金利です。
公開市場操作:日銀が国債などの有価証券を金融機関との間で売買し、市場の資金量を増減すること。
政策金利:中央銀行が政策的に上げたり下げたりする金利
[補足講義]日本の国債事情
日本の国債の所有者内訳は、金融機関の割合が高くなっています。
国内外の比率を見ると、国内での所有が91.2%と大半を占め、海外はわずか8.7%です。
国債の所有者別内訳:日本銀行12.0%、銀行等42.7%、生損保等19.2%、公的年金7.1%、
年金基金3.0%、海外8.7%、家計2.5%、その他4.7%
この続きは、次回に。