池上 彰のやさしい経済学2 ニュースがわかる ⑳
なぜ年金記録問題が起こったのか
※ 保険制度改革を行った田中内閣
※ 消えた年金記録のうち解明されたのは6割
※ 省略致しますので、購読にてお願い致します。
年金一本化の問題
※ 省略致しますので、購読にてお願い致します。
人口ボーナスと人口オーナス
1935年の日本の人口は、見事なピラミッド型でした。
若い人が大勢いて、お年寄りは非常に少ない。
これだと大勢の若い人が年輩の人を支えることができます。
15歳から64歳までの人たちを生産年齢人口と言います。そして14歳以下の人たちは年少人口、
65歳以上の人たちは老年人口です。老年人口と年少人口を合わせて、従属人口と言います。
生産年齢人口の人たちによって支えられているのが従属人口という考え方ですね。
生産年齢人口の人たちはたくさん働き、活発に消費をするからです。
1935年の日本は、15歳から64歳までの人が非常に多いのですね。
一方、14歳までの人、あるいは65歳以上の人はそれほどではありません。
これは1960年になってもそうです。
生産年齢人口が非常に多いということがわかります。
この人たちがみんな働くわけですから、お年寄りを支えたり、若い人たちの世話をしたりするのも
たやすいことでした。しかし、2010年は、ずん胴になってしまいました。
ずん胴になるということは、前ほど子どもも生まれてこないし、医療制度が発達していますから、
みんな長生きをするようになる。その結果、この生産年齢人口が次第に減って老年人口が増える。
つまり、従属人口が増えいくるわけです。
1935年や1960年のように、生産年齢人口がどんどん増えて働き手が増えていくのは、社会にとって
それだけボーナスになっているので、これを「人口ボーナス」と言います。
日本が高度経済成長の時は、まさに人口ボーナスがあったことによって経済が非常に発展した。
この人たちがたくさん働いて稼ぐと同時に、活発に消費するわけですね。
だから経済が発展する。それに対して2010年のように、生産年齢人口がどんどん減ってくる一方、
その人たちに支えられる人たちが増えてくるのが「人口オーナス」です。
オーナスというのは重荷という意味です。
人口が重荷になってしまう。それまでは人口がどんどん社会にとってボーナスになっていたのが、
重荷になってきます。お年寄りが増えてくると、それを支えるのは実は大変なことなのです。
人口ボーナス社会から人口オーナス社会に突入しつつあるのは、日本だけではありません。
先進国に共通のことですし、生まれる赤ちゃんの数が非常に少ないわけですから、どんどん
生産年齢人口が減っていくわけです。
日本よりも出生率が低い韓国は、深刻な人口オーナス期を迎えます。
中国は、これまで人口ボーナス期でしたが、間もなく劇的な人口減少に見舞われます。
生産年齢人口:15歳以上、65歳未満の年齢層のこと。14歳以下は年少人口、65歳以上は老年人口と言い、
この2つを合わせて従属人口と言う。
この続きは、次回に。