超ロジカル思考 「ひらめき力」を引き出す発想トレーニング⑤
STEP2 Son Masayoshi
孫正義に学ぶ「自分の器を超えた問題に挑む」トレーニング
✔️ 壮大な「人生50年計画」
目に見えないものが見えるようになる、脳のメカニズムを理解したところで、次に取り組んで
もらうのは「自分の器を超えた問題に挑む」トレーニングだ。
ここで、先ほど「意思を持つことで脳は進化する」と語っていたソフトバンク創業者の孫正義氏に
ご登場願おう。孫さんに関してまず驚かされるのは、19歳のときに「人生50年計画」を打ち立て、
現在までのところそれを着実に実行していることだ。また、その50年計画の中身がすごい。
「20代で名乗りを上げ、30代で軍資金を1,000億円貯め、40代でひと勝負し、50代で事業を完成させ、
60代で事業を後継者に引き継ぐ」。
✔️ アイデア出しにおける「やってはいけないこと」
孫さんは、30代で1,000億円の事業価値を生み出すことを自らに課した。
とても自分の専門性や経験だけでは解決できる問題ではない。
こうした問題に対して、どうやって解決策を見出したのだろうか。
この問いについて考えるために、ここでひとつエクササイズに取り組んでもらおう。
Exercise 2-1
あなたが結婚式場の経営者だとして、自社の売り上げを大きく上げる方法を考えてください。
また、いくつかのアイデアの中から、最もインパクトの大きいアイデアを絞り込んでください。
どうだろう、いいアイデアは出てきただろうか。
私はよく企業向けのビジネスリーダー育成プログラムの中で、さまざまな企業の幹部候補の人たちに
この問題を解いてもらう。その時、多くの人がやってしまいがちなのが、頭に思い浮かんだアイデアを
箇条書きにして並べて、その中から最もインパクトの大きそうなものに丸をつけるというやり方だ。
このやり方は、頭の中にあるアイデアをひとつずつ取り出しては書いていくことを意味する。
このため、どこかで筆が止まる瞬間が訪れる。
そこまでは自分に見えている世界だが、そこから先は自分に見えない世界が広がっている。
筆が止まったということは、ちょうどその境界線まで来たことを意味する。
ここで多くの人は、それまでに書き出したアイデアを分類したり並べ替えたりしながら、インパクトの
あるものを絞り込んでいく。このときに注意しなければいけないのは、このやり方が効果を発揮するのは、
自分の頭の中にすでに答えがある場合に限られるということだ。
ところが、「ある事業の売上を大きく伸バス」といった問題を解こうとすると、このやり方は途端に
破綻する。なぜなら、すでに頭の中にあるアイデアを取り出してきて売上が大きく伸びるぐらいなら、
もうすでに伸びていなければおかしいからだ。
これまでよほど怠慢をしてきたのでない限り、こうした問題の答えは頭の中には存在しない。
自分に見えていない側の世界の中にある。
つまり、問題の大きさが自分の器を上回っているということだ。
そこに気づかなければ、この問題を解くことはできない。
こうした自分の器を超えた問題を解くときには、まったく異なるアプローチが必要になる。
自分に見えていない世界の中にある答えを、たぐりよせるスキルが必要になるのだ。
✔️ 重要なのは、構造を解き明かすこと
それでは、自分の経験や知識だけでは解けないような自分の器を超えた問題にアプローチするには
どうすればいいのだろうか。ここで助けになるのは、「問題の構造を解明する」ことである。
先ほどの問いの場合、問題とは「結婚式場の売上をどうやって上げるか」である。
そこで、問題の構造を解明するために、「結婚式場の売上とは何か?」問いう問いを立ててみよう。
すると、「売上=挙式する組数×1組あたりの単価」問いう形で、2つのファクターに分解できることがわかる。
そうすると、「挙式する組数を増やすために何ができるのか」「単価を上げるためにできることはないか」と
いった論点が自図から浮かび上がってくる。
次に、「挙式する組数とは何か?」という問いを重ねると、「挙式する組数=市場全体の挙式組数×
当社のシェア」問いう2つのファクターがさらに浮かびあがってくる。
すると、「市場規模はいったいどのくらいあるのか」「それは5年前と比べて増えているのか、減っているのか」
「当社のシェアはどのぐらいなのか」「シェアを上げるために、どこから顧客を奪えばいいのか」といった形で、論点が勝手に広がっていく。
※ 詳細は購読にてお願い致します。
この続きは、次回に。