お問い合せ

超ロジカル思考 「ひらめき力」を引き出す発想トレーニング⑱

・  強いブランドの本質とは何か

ここまで、顧客の分析の中心に捉えること、つまり視座を製品側から顧客に移すことによって、

顧客の行動や意思決定のあり方を変えることが可能なことについて述べてきた。

「価値がいかに認識されるか」にこだわったコトラーならではの、コペルニクス的転換と

言えるだろう。そうすると、次の問題になるのは、ターゲットとする顧客に自社の製品をいかに

認知させるかである。そこから浮かび上がってきた新しい概念が「ブランド」である。

ブランドとは、ある製品群や企業を他と差別化するための「記号」「シンボル」のことである。

記号やシンボルは、相手から知覚されるための「形」を持つとともに、相手にとって重要な

「意味」や「価値」を持つ。この意味や価値のことをブランド・エクイティという。

コトラーは、このブランド・エクイティという目に見えない実体を発見したのだ。

それでは次は、このブランドについて考えてみることにしたい。

 

※   省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

Exercise  5-6

強いブランドを具体的にいくつかイメージしてみてください。

できれば飲料や食品の中から挙げてください。

我々は、なぜその飲料や食品を飽きもせずに繰り返し消費するのでしょうか?

 

強いブランドとは、多くの人が繰り返し消費するもののことをいう。

先ほどのコカ・コーラをはじめ、ポカリスエット、カルピス、アサヒスーパードライ、

スターバックスコーヒーなどを思い浮かべた人が多いのではないだろうか。

これらの商品を我々は頻繁に消費している。

中には毎日飲んでいる人もいるだろう。しかし、決して飽きることはない。それはなぜだろうか。

その理由は、体が求めるからです。人間の体内では、無数の化学反応が起こっており、

それが人の快、不快を生み出している。

病気が起こるのは、体内の科学反応のバランスが崩れるからだ。

また、薬を飲むと病気が治るのは、薬の成分が科学反応に作用して、崩れたバランスを元に

戻すからである。このような体内のメカニズムのことを薬学の世界で「作用機序」という。

薬のように強力な作用をもたらすものでなくても、食品や飲料の中には、我々の体内に作用し、

爽快感や癒しを感じさせてくれるものがある。

コカ・コーラやポカリスエットはまさにそうした商品なのだ。

体が無意識のうちにそれを求める。だから毎日飲んでいても飽きが来ないのだ。

これが強いブランドの本質である。

 

・  5感に訴える商品をつくる

強いブランドをつくるためには、こうした消費者の内面に入り込み、彼らの感情の変化が

起きるメカニズムを理解する必要がある。

よく新しい商品を開発する過程で、消費者インタビューが使われる。

消費者を会議室に集め、どのような缶コーヒーを飲みたいかを聞くものだ。

そこから、「甘さ控えめな缶コーヒーがいい」といった話を引き出し、商品コンセプトに反映させる。

ところが、この方法でつくられた商品は売れないことが多い。

なぜなら、会議室でインタビューを受けている状況と、実際に缶コーヒーを飲む状況が異なるからだ。

その結果、自分の感情に基づいて答えているのではなく、「甘さ控えめなコーヒー」といった、

どこかの誰かがつくった言葉を、頭の中から取り出してきて答えることになる。

このように、味覚だけでなく、視覚や聴覚も含め5感に訴える要素(記号やシンボル)をふんだんに

盛り込んだ。それが無意識のうちに検索に引っかかり、ターゲットユーザーが思わず手を伸ばす

商品につながったのだ。

 

・  顧客の内面にシンクロする

顧客が価値を認識する過程を、顧客の内面に入り込んで感じ取り、顧客がどう心を動かされたい

のかを理解する。

爽快感や刺激、優越感や全能感など、顧客が求める感情に、自分自信の内面をシンクロさせるのだ。

それを続けているうちに、何が顧客の心に響くのか、次第にアイデアが意識の世界に浮かび上がる

ようになっていく。そして、顧客の5感にどのように訴えかければ、顧客の心を共鳴させることが

できるのか、我がことのようにわかるようになっていく。

こうした過程から発見された知見が、情報革命の時代においては価値を待つ。

情報革命によって、情報やモノの価値が下がる一方、同じ価値観やモノの見方を持った仲間が

発進するメッセージは、多くの人を惹きつけるようになった。

消費者は企業がつくるモノよりも、仲間の声の方を求めるのだ。

今やお金やモノがなくても、ユーチューブやフェイスブック、LINEを使って、いくらでも

楽しめるようになった。こうした時代をビジネスパーソンとして生き抜いていく上で、

相手の内面を感じ取る力がますます重要になってきている。

ただし、人を共鳴させることは、相手に迎合することではない。

それでは、会議室での消費者インタビューと同じになってしまう。

相手の共感を引き出すためには、相手が何を心を動かされるのかについて、自分なりのモノの見方、

つまり目利き能力が必要になる。スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスなど、BtoCの世界を

勝ち上がってきた天才たちは、皆そこに長けている。

 

STEP  5  まとめ

 

   ◉ 顧客を様々な切り口から分類してみる

 

   ◉ その中から、魅力的なターゲットを選ぶ

 

   ◉ 彼らの内面に感情移入し、彼らがどのように心を動かされたいのか創造する

 

   ◉ さらに、彼らの内側から世界を見ることで、何が彼らの心を動かすのかについて想像を広げる

 

   ◉ それらを使って、どのように顧客の5感に刺激を与え、心を動かすことができるのかについて考える

 

 

この続きは、来年に。

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