超ロジカル思考 「ひらめき力」を引き出す発想トレーニング⑲
STEP-6 鈴木敏文に学ぶ「仮説を立て検証する」トレーニング
Suzuki Toshifumi
・ その仮説は、検証できるのか?
ステップ1から5では、「見えないものを見る」「自分の器を超えた問題を解く」「未来を作り出す」
「常識から自由になる」「人の内面を見る」といった一連のトレーニングに取り組んでもらった。
これまで経験したことのない新しい環境の中を生き抜いていくには、今自分に見えていないもの、
そもそも目で見ることができないものについて仮説を立てる力が必要になるからだ。
ただ、仮説とはあくまでも仮の答えであって、それが効果を発揮するかどうかは検証してみなければ
わからない。仮説を検証し、それを裏づける証拠(エビデンス)が得られれば、それを実行に移すことで、
大きな成果を期待できる。しかし、仮説を検証しようとすると、仮説自体が具体化されていないと、
検証することもできない。それを理解するために、ここで早速エクササイズをやってもらおう。
Exercise 6-1
次の2つの仮説について、それぞれ検証可能か、可能でないかを考えてください。
また、その理由を説明してください。
① 肉体労働者は疲れているので、甘いコーヒーを求めているはずだ。
② 甘さ控えめなコーヒーが売れるだろう。
仮説が検証可能であるためには、5W1Hが具体化されている必要がある。
ステップ6では、仮説を立て検証する力を強化するためのトレーニングに取り組んでもらう。
ここでご登場いただくのは、口を開けば「仮説」と「検証」という言葉が出てくることで有名な、
セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長である。
鈴木氏は仮説の設定と検証を通じて、セブン-イレブンを日本で大成功させた立役者だ。
視野を広げる方向性
STEP 1
目に見えないもの ← 目に見えるもの
STEP 2
経験のないこと ← 経験したこと
STEP 3
未来 ← 過去
STEP 4
常識の外 ← 自分の内面
STEP 5
他人の内面 ← 自分の内面
Exercise 6-2
セブン・イレブンの1店舗あたり日販は67万円と、他のコンビニの50万円台前半の水準を圧倒しています。
この違いがどこから生まれてくるのか考えてみましょう。
⭐️ ヒント
目に見えるところだけを見ていては、なかなか違いに気づきにくいでしょう。
・ なぜ、セブン-イレブンが売れるのか
1店舗あたりの日販を見ると、セブン・イレブンは67万円と、ローソンの55万円、ファミリーマートの
53万円を圧倒している。その原因は、店づくり以外のところにあるということになる。
それがここでの問いである。
・ 経営を「心理学」で捉える理由
結論からいうと、商品が買い上げられるスピードが違うのだ。
仮説を立てる。それに合わせて品揃えを充実させておくと、それがまた売れる。
こうした仮説を立て、商品が買い上げられるスピードが極限まで高めた結果が、圧倒的な1店舗あたりの
売上高に表れているのだ。
鈴木会長が、常々「我々の競争相手は同業他社ではなく、めまぐるしく変化する顧客ニーズである」と
いうのはここに理由がある。
同業他社の店づくりを見ていても、結局フォーマットに収束していくだけで、差別化にはならない。
本来の差別化を追求するなら、ステップ5でやったように、顧客の心の内側を見にいく必要がある
ということだ。
鈴木氏が良く「経営を心理学で捉える」といわれる所以はそこにある。
この続きは、次回に。