超ロジカル思考 「ひらめき力」を引き出す発想トレーニング⑳
・ 門外漢だからこそできる非常識発想
例えば、多くの人が「多様化の時代」を唱える中で、日本人の姿は「画一化」しているという
モノの見方を提示したことはよく知られている。
皆が求めるモノがめまぐるしく変化しているから「多様化」しているように見えているだけで、
その実態は、皆が同じブランドに飛びつく「画一化」。
こうした「本当のようなウソ」を冷静に暴いてみせる。
※ 省略致しますので、購読にてお願い致します。
・ 仮説設定力を組織全体で高めるために
こうした「業界の常識」に縛られない自由なモノの見方が、消費者の内面に関する斬新な
仮説の設定を可能にし、商品の買い上げスピードを高めている。と同時に、仮説を検証する力が、
「本当のようなウソ」を暴き、常識に縛られないモノの見方を可能にしている。
しかし、鈴木氏が真に優れているのは、それを自分の個人芸に留めず、組織能力にまで高めて
いるところにある。鈴木氏は成功事例をマニュアル化することを戒めている。
そんなことをしても、すぐに真似され、効果が長続きしないことがわかっているからだ。
鈴木氏が着目しているのは、そうした目に見えやすいところではなく、絶えず最新の仮説を
立てる組織能力を高めることである。
Exercise 6-3
セブン・イレブンのOFCが週1回本部に集まることが、なぜ最新の仮説を立てる組織能力の向上に
つながるでしょうか。
⭐️ ヒント
ステップ1でやったことを思い出してみましょう。
絶えず変化していく顧客の内面に関して、最新の仮説を立てようとすると、目利き能力が必要になる。
そこでは観察→仮説→検証の3つを繰り返すことが重要であった。
それによって、無意識の世界の検索パターンが顧客に合わせてチューニングされていく。
これが目利き能力を獲得するメカニズムだった。そして、いったん目利き能力を獲得できれば、
後は顧客の内面に関して、勝手に仮説が浮かび上がってくるようになる。
鈴木氏がその重要性を理解していることは、次の言葉から伝わってくる。
「直感と客観によって仮説を立て、実行した結果を検証し、発想力をさらに強化していく」
「POSデータは仮説を検証するためのものだ。問題意識を持って動きを見れば、意味や文脈が
浮かび上がり、そこから仮説が生まれる」
つまり、仮説の検証を繰り返すことで斬新な仮説を設定する力を高めることが可能なのだ。
・ 直観を大切にした「データ主義」
「私はこれが欲しかったんだ!」という驚き、そんな商品と出会った喜びこそが、顧客の財布の紐を
ゆるめさせる。このため鈴木氏は、「明日のお客さま」が何を求めているかについて仮説を立て、
徹底的に検証することを求める。
この辺りは、「顧客が何を望むかでなく、何を望むようになるかを考える」と言っている
スティーブ・ジョブズと共通するものがある。
鈴木氏が、客観的な「データ主義」を標榜する一方で、直感を重視するのは、データによる
検証の繰り返しが、新しい仮説を生む力につながることを知っているからだ。
ジョブズが自然科学と人文科学、技術とデザインの両面性を持っていたのと同じように、
鈴木氏もある見方からは客観的に、別の見方からは直感的に見える。
・ 明暗を分けた2人のCEO
ここで仮説の設定と検証の能力が、2人のCEOの明暗を分けた事例を紹介しよう。
最近カーシェアリングが日本でも普及してきているが、カーシェアリングというビジネスが
米国において成り立つのかどうか、壮大な実験を行った人がいる。
ジップカーという会社の話だ。
※ 省略致しますので、購読にてお願い致します。
この続きは、次回に。