IoTビジネス入門 ⑨
第2章 IoTで変わる家ナカ
つづいて、電気代を節約することができるIoTの紹介を通して省エネ社会がどのように実現されるかを
見ていきます。
そのうえで、「家のナカIoTで生活がとても便利になると言うけれど、どう変化するのか?」という
疑問に答えます。
■ IoTで変わるライフスタイル
スマートロックの例を見て、モノがインターネットにつながるよさと、実際にビジネスにしていく
難しさは理解できたのではないでしょうか。
つながることで新たな価値が生まれるだけでなく、工夫によって、これまでの課題を解決していく
可能性があることに気づいたはずです。
この事実を踏まえて、スマートロックのように、家のナカにあるものがどんどんインターネットに
つながっていったらどうなるでしょう。
家ナカのIoTは、海外ではすでに多くのモノやサービスが生まれています。
私は米国に行くたびに、BEST BUY という家電量販店を訪問するようにしていますが、そこの陳列棚
では、すでに様々なIoT関連のモノが置かれています。
最近は日本の家電量販店でもIoT製品を見かける機会が増えてきましたが、米国と日本では法律が異なる
ため、必ずしも同じモノが買える状況ではありません。しかし、どんどん陳列されるモノを見ていると、
自分たちの生活が徐々に変わっていく予感を覚えます。
実際にこれらのモノによって、家ナカのライフスタイルがどう変わるのでしょうか。
よく言われるライフスタイルの変化は、次のようなイメージです。
まず、帰宅して「寒い」「暑い」ということがなくなります。
家は、あなたが家に近づいていることを自動で認識するので、帰宅してから「暑い、暑い!」と急いで
窓を開けたり、冷房を強に設定したりする必要はなくなります。
帰宅した時は、玄関があなたを認識して自動的に開くので買い物袋を両手いっぱいにして帰ってきても
楽々家に入れます。冷蔵庫も賢くなり、買い物で何を買い足せば良いかを教えてくれます。
何なら、自動的に足りないものを発注してくれるかもしれません。
好きな音楽や動画コンテンツは人口知能がオススメしてくれるので、いつも聞く音楽が好きなヒトも、
新しいコンテンツにどんどん出会いたいヒトも、そのヒトに応じた楽しみが提供されます。
家にはロボットがいて、情報の取得や注文行為、エンターティメントの提供など、さまざまなジャンルで
あなたのエージェントとなってくれるでしょう。
——-どうですか?
ここまでは、いろんな本に書いてある、IoTによって来ると言われている未来です。しかし、あなたは、
こんな生活を本当に望んでいるでしょうか? 少なくとも、ワクワクしましたか?
「空調は普段つけないようにしているから、必要な時に自分でつけるよ」
「自動ドアっていくらするの? カギくらい自分で開けるよ」
「買い物くらい、自分でお店に行って手にとって見たいよ」「ロボットなんかいても、場所もないし
邪魔になるだけだよ」
というようなことを感じた人も多いのではないでしょうか。
初めからそういう家であったとすれば、とても便利な気もしますが、現状のライフスタイルとあまりに
ギャップがあり、「そんな機能がついても別にうれしくないよ—-」と過剰に感じる場合があるかも
しれません。
ではもうすこし具体的に、本当に必要とされ、近い将来、実現性の高い家ナカのIoTとその現状について
見ていきましょう。
この続きは、次回に。