お問い合せ

書籍「はじめよう シェアリングビジネス」④

  議題解決の鍵を握るシェアリングエコノミ

 

それぞれの自治体が抱える課題解決の一助として、シェアリングエコノミーの活用に期待が

集まっている。

導入事例について、経済産業省の岡北有平課長補佐に話を聞いた。

 

● 地方の課題解決につなげるため「共助」の社会を再現したい

 

● 支出を減らして収入を増やし財政負担を軽減

 

● 個々のライフスタイルに応じた働き方改革の実現

 

● 「シェアリングシティ2.0」を日本の創出

 

 

{  自治体の課題とシェアリングエコノミーの可能性 }

 

◉ 雇用

  翻訳やデザインなど、眠っている個人スキルがクラウドソーシングで市場に提供されれば、

  時間や場所に制限されず働ける人が増える。

 

◉ 高齢者活用

  高齢者の持つ専門知識や経験を、求めている人にスポットコンサルティングすると、

  社会貢献になり、収入も発生する。

 

◉ 空き家・空き店舗

  古民家などふだん使われていない空き家や店舗を利用者に時間貸しすることで、遊休資産を

  有効活用できる。

 

◉ 訪日インバウンド

  訪日観光客向けガイドマッチングサービスを利用し、地元に詳しい人が空き時間に旅行者を

  案内すれば、ガイド不足が解消する。

 

◉ 待機児童

  育児シェアのマッチングサービス活用で、時間や場所の条件に応じ、子どもを預ける

  育児パートナーを見つけられる。

 

◉ 教育

  特定の専門知識を提供したい人と学びたい人のマッチングにより、新しい教育の場が生まれ、

  社会全体の教育水準も向上する。

 

◉ 交通弱者

  公共交通手段が乏しい地方の過疎地では、移動困難者を救うため、ライドシェアサービスの

  実証実験が始まっている。

 

◉ 財政難

  地域にとって価値のあるプロジェクトであれば、クラウドファンディングで賛同者を募り、

  資金を集められる可能性がある。

 

 

◯  シェアリングエコノミーが抱える問題点

 

市場が急速に拡大するシェアリングエコノミー。

その経済効果が期待される一方で、様々な問題点が指摘されている。

シェアリングビジネスの今後の健全な発展に向けて、

未発達のいまだからこそ考えるべき問題点を探る—–。

 

◯ 既存産業との軋轢?

      シェアリングエコノミーは破壊の象徴

 

● 規制緩和の流れとソフトローによる新たなルールメイク

 ・ハードロー 法律や政省令

 ・ソフトロー 一定の安全・安心の仕組みがプラットホーム側にあることを担保しつつ、自治体との

        連携をスムースにさせる官民共同のルール作り。

 

● 「ギグ・エコノミー」は働き方改革の一端を担うか

 ・インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方や、それによって成り立つ経済形態のこと。

 

● 各ステークホルダーによる適切な責任分担

 

期待値コントロール }

 

インターネットが発達した現代においては、クリック一つで全てが完結できてしまうため、

その先にいる利用者や提供者の顔やシェアする空間・スキル・モノを直接確認せずに取引が

完了しがちだ。

利用者が求めるクオリティーのイメージと、提供者のリソースがマッチするのか否か、

写真や動画などを駆使してもやはりヴァーチャルの世界では限界がある。

プラットフォーマーは、この「イメージ」を共有するためのツールとして、チャットのように

提供者とやり取りができる問い合わせ機能を付帯させたり、レビューシステムを導入したりする

わけだが、それでも完璧ではない。

そこで、例えば空間のシェアであれば、内覧というリアルな場を設けることで、期待値を

コントロール(平準化)し、利用者・提供者双方の満足度を高めるということがよく行われている。

内覧はあくまで極端な例ではあるが、インターネットサービスでありながらも、「人」という

リアルが介在しているという現実を直視し、いかに「使いやすい」サービスに磨き上げていくのか。

プラットフォーマーにはその責任があり、そういう視点を持たないプラットフォーマーは早晩

淘汰されていくに違いない。

また、利用者も、単に既存サービスより「安いから」という意識で消費者としてサービスを

利用するのではなく、結局人間は一人では生きられない社会的な動物であるという視点を忘れずに、

これまで出会えなかったモノや空間、そして人とつながり、新たな世界が広がるこのワクワク感を

楽しむ意識で利用することができれば、個人間のトラブルも自然と減少していくと思われる。

 

 

 

この続きは、次回に。

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