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第九章 コミュニティはブランドだ
1943年、アメリカの心理学者、エイブラハム・マズローは、「人間の動機に関する理論
(A Theory of Human Motivation)」という論文を発表した。
これまでの常識を打ち破るこの論文でマズローは、欲求の段階、つまりベーシックな生理的欲求
—-食べ物、暖かさ、水など—が最下層にあり、その上に安全の欲求、帰属の欲求、承認の欲求、
そしていちばん上に自己実現の欲求が重なるピラミッドを描いた。
60年余りを経た現在でも、この「欲求段階説」は、消費の重要な要素を理解し、消費者の行動や
その理由を説明する上で、もっとも有効なモデルとして知られる。
クレイグリスト、ジップカー、ゾーパ、またはウィコミューンといったブランドは、マズローの
ピラミッドの下層にあるベーシックな欲求も同時にかなえている。
ハイパー消費主義における「私」ブランドとは対照的に、コラボ消費には「みんな」を
基盤にした人間関係が組み込まれているからだ。
「ブランド」は、広告キャンペーンをとおして人間が奥深くにもつ基本的な欲求と動機に
訴えることで、私たちにより多くのものを手に入れたいと思わせた。
それと同じように、「ブランド」は、コラボ消費から生まれるサステイナブルな価値や
メリットを享受したいと私たちに思わせることができる。
これらの価値には、人とのつながり、思いやり、サポート、スキル、幸福、新しい習慣、
空間そして時間さえも含まれる。
コラボ消費の世界で、ブランドの果たす役割はまだ大きい。
それでも、ブランドをつくりあげ、育てて、広める方法は変化している。
コラボ消費の新しいブランドの多くは、ウェブ2.0の代表的なブランド、たとえばフリッカー、
スカイプやフェイスブックと同じような過程をたどっている。
それは、コミュニティに力を与えることを基本に据え(消費者の声を吸い上げるために
ほとんどはインターネットをプラットフォームとして使う)、広告キャンペーンではなく
コミュニティがブランドを育てることをしっかりと理解する、という過程だ。
※ 省略致しますので、購読にてお願い致します。
□ プランド伝道師たち
多くのウェブ2.0のブランドも同じだが、コミュニティはコラボ消費のブランドにとってのDNAだ。
だから、ユーザーは消費者ではなくメンバーと呼ばれている。
ひとたびメンバーになれば、さまざまなメリットを手に入れられる。
ステータス、アイデンティティ、共通の利益、そしてオーナーシップなどだ。
コラボ消費のブランドは、それが生まれた時からコミュニティに投資してきた。
コラボ・ブランドは、ユーザーに一方的に何かを伝えるのではなく、まず耳を傾け、
そして双方向の会話をサポートする。
こういう組織の多くにとって、顧客サービスとは、上から目線でクレームを処理することではなく、
コミュニティをつくり、ユーザーの評価に合わせて組織をつくり変えて行くことだ。
コラボ消費企業の創業者たちは、初期のコアユーザーを引き入れることに多くの時間を使い、
その後、継続的に、初期ユーザーを他のメンバーに紹介してゆく。
このアプローチがうまくいくことは、ウェブ2.0ブランドのサイトですでに証明されている。
※ 省略致しますので、購読にてお願い致します
この続きは、次回に。