書籍「10年後の自分」を考える技術 ⑮
✔ LED市場の成長はいずれ止まる
超長期的には確実な要素に見えても、短期〜中長期的には不確実なものもある。
対象期間(時間の枠)をどう取るかによって「確実さ」や「不確実さ(不確実性)」は
変わっていくことにも注意したい。
このように、「価格」「新規需要」「技術革新度」には不確実性の〝幅〟があり、
それらの結果いかんによっては、未来の姿がいくつかに分かれてしまう可能性が
あるのだ。
この、複数の未来の姿を「シナリオ」と呼ぶ。
そして、世の中の変化を「確実性の高いもの」と「不確実性の高いもの」に
仕分けしつつ、不確実性ごとに未来を「場合分け」し、複数のシナリオとして
考えていく発想法を「シナリオ・プランニング」と言う。
✔ 「楽しい未来」を考えることをサボっていないか?
ガイダンスでも少し触れたが、変化のスピードが早く不確実性が高い(=未来予測が
むずかしい)状況でも、未来について考察をめぐらせ、「その幅」について
考えることは、誰にでもできる。
シナリオ・プランニングとは、「Think Unthinkable」と言い換えることも
できるだろう。
つまり、「考えづらい未来(Unthinkable)を無理にでも考えてみる」ことでもあり、
そうやって事前に考えておくことで、準備や対処が可能になるのだ。
本書のなかでくり返し言っているように、いちばん大切なのは「一度、
客観的に考えてみる」ことだと思っている。
最後に主観で決めるのはまったくかまわない。
ただ、その前に一度立ち止まって、いろいろな可能性や不確実性について
考えをめぐらせてみてほしいのだ。
自分の考え方と行動次第で未来の可能性は本当に無限大であるはずなのに、
往々にして人は、過去の思考パターンだけで主観的に未来を捉えてしまう。
それだと視野や世界は一向に広がらないし、行動のパターンも限定的だ。
それに対して、「一度、客観的に考えてみる」というステップを踏むと、
発想の転換や見えていなかった選択肢が見えてくることもある。
本来、未来について考えるということは「ワクワクすること」だったはずだ。
「Dreams come true(夢が叶う)」という言葉があるが、そもそもその夢を
みないかぎり、実現することはありえないはずだ。
大リーガーを夢見ない人間が、たまたま大リーガーになるなんてことはない。
彼らは夢を見たから、夢を叶えたのだ。
あたりまえの話に聞こえるかもしれないが、ここのところを本当に実感
できるかどうかが、人生の質を決定的に決めると私は思っている。
✔ 「私はやれる」から「私はやった」へ
私は小さいころ、好奇心旺盛だが長続きしない子供だった。
習い事はことごとく途中で挫折している。
だからこそ、「強制力がないと挫折する」という自分の弱点を知っていて、
強制的にこのような体験を作り出したのかもしれない。
もしみなさんが、自分も実行力に乏しい人間だと共感してくれるのであれば、
強制的に仮想体験することをおすすめしたい。
そのひとつが、この本で解説している「シナリオ」なのだ。
まだ見ぬものを見たり感じたりすることによって広がる未来というのは
確実に存在すると思っている。
「不確実性」というと、ほとんどの人は確定していないことに対して不安や
恐れを覚える。よくわからないことは怖い、とマイナスに捉えてしまう。
しかし、そういった面もあるにはあるが、逆に不確実なことのプラス面もあると
いうことを、本書で私は特に強調しておきたいのだ。
この続きは、次回に。