「やる気」を起こさせる成果主義②
前回の続きとして、下記をご紹介致します。
日本経済新聞 2020年(令和2年) 4月21日(火曜日)掲載
働き方にinnovation
さらば平等 ソニーの覚悟
正社員って何だろう② 新人から給与格差
デジタル革命が世界を揺らす21世紀。
正社員のかたちって何だろう。
ソニーがたどり着いた答えの一つが「初任給」は横一線でスタートという
平等原則の見直しだった。
その先には重い課題も待ち受けている。
「自分の仕事が評価され、給与が増えるのはうれしかった」
ソニーは昨年入社の新人社員から「新人の給与」は平等という原則を廃止した。
✔ 「降格あり」が規律
いきなり給与に格差をつけるとやる気が失われるのでは?
その心配はない。今後の働きぶりでは等級の降格もあるからだ。
「形式的職階制を避け、一切の秩序を実力本位、人格主義の上に置く」。
創業者の井深大氏の理念を踏まえ、ソニーは1968年、実力で処遇する制度を
入れた。
✔ GAFAを意識
新たな課題も生まれていた。
米IT大手「GAFA」の人材獲得競争が激しく、今の若者にソニーブランドが
通用しない。
「優秀な人材を集めるには、能力の高い人材に会社が向き合う姿勢を
見せる必要がある」
日本の正社員は終身雇用と年功序列を前提に職務や勤務地を限定せずに働く
「メンバーシップ型」が一般的だ。
皆が同じ「ムラ社会」に帰属し教育するのも企業なので、初任給も平等で
あるべきだという考えだ。
一方、初任給に差をつけるソニーの取り組みは、責任や役割に応じて報酬を
変える「ジョブ型」を意識する。
能力などで個別に新人の給与を決める欧米型に近づけようという試みだ。
ジョブ型雇用推進等には難題もある。
雇用契約の出口をどう設定するかが判然としていないことだ。
日本の一般的なメンバーシップ型雇用では、企業による解雇を厳しく制限する
判例法理が確立している。
一方、欧米のジョブ型は高い報酬を払い配置転換も命令できない代わりに、
職務を全うしていないと判断すれば解雇事由となりえる。
日本でも「中途採用された管理職の解雇が有効になった例がある」
ソニーの場合、等級の降格や剥奪はありうるが解雇に踏み切ることはしない。
従来型の雇用関係とバランスをとることで激変を緩和している。
経団連も「ジョブ型で採用された社員が特定の職務で能力を発揮できない場合、
(解雇するのではなく)別の仕事をやってもらう日本的なジョブ型が望ましい」
とする。
焦点は「賃金水準」かもしれない。
解雇なしが原則のメンバーシップ型は突然の解雇リスクがない分、
給与水準は解雇ありのジョブ型よりも低くなる。
初任給を含む賃金で日本が見劣りする一因も、終身雇用を保証しているからだ。
だが「薄給」のままで日本企業は高度人材を獲得できるのか。
初任給平等原則の見直しは日本型の「正社員のかたちとは何か」を深く
問いかけている。
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✔ 日本は初任給抑制
ソニーのように日本でも一律の初任給を見直す動きが出ているが、そもそも
責任や役割で報酬を変える「ジョブ型」が一般的な欧米では〝横一線の
初任給〟という概念自体ない。
雇用制度の違いは待遇などの差に表れている。
ジョブ型は人事部ではなく、配属先の幹部が採用面接の時点で給与を
決める裁量を持つのが一般的だ。
日本の雇用環境に近いと考えられているドイツもジョブ型だ。
独メーカーに就職した○○さんは面接で月給や手当の有無について決めるよう
言われ、面食らった。
「報酬は自らのスキル、実績をアピールして勝ち取るものだ」。
社長にこう説明された。
日本の初任給に相当する大卒入社1年目の基本給(年額)を各国で比較すると
どうか。
ウイリス・タワーズワトソンの調査では米国が平均632万円、ドイツで
534万円、日本の262万円を大きく上回る。
物価などの違いはあるが、「終身雇用が前提の日本はスタート地点の初任給が
抑制されている」
新型コロナウイルスの感染拡大が雇用を脅かし、これまでの日本的な正社員を
再評価する動きが出る可能性もある。
ただリモートワークなどで正社員の働き方も変わるか、これまで以上に
正社員一人ひとりに成果が求められる。
コロナ禍の不透明なグローバル競争を考えると、もはや後戻りはできない。
● 日本はスイスの3分の1以下
✔︎ 就活から「ジョブ型」
○ 一般的な日本企業
人事部→一括採用→研修後に配属→経理部・A営業部・B開発部
□ ソニー方式
70のコースから選択→個別採用→そのまま配属→経理部・A営業部・B開発部
私見□ いかがでしたでしょうか。
私は、「ジョブ型」に全面的に賛成している訳ではありません。
日本の良いところ、欧米等の良いところをピックアップして、
徐々に取り入れていけば良いと思います。
そして、「トライアルアンドエラー」で、「成果」=「実績」=
「評価」=「報酬」のフローで、「シンプル」に。
私の場合は、基本給+職能給+能力給=年俸制でした。
「やる気」を起こさせる、「やる気」が起きる成果主義が
確立できれば良いと思っています。
※ トライアルアンドエラー
試行錯誤を意味する語。 稀に「トライアンドエラー」とも言うが、
英語の本義に即した表現は「トライアルアンドエラー」が正しい。