お問い合せ

危機の時代 ジム・ロジャーズ ㊱

・CNNは見ない方がいい

 

あなたが海外のホテルで目覚めるときは、CNNを見ない方がいい。

アナウンサーやキャスターたちはあなたにこう言い続ける。

 

「人々は叩かれて、奪われている。ロシア人は邪悪であり、中国人はもっと悪い。

彼らはあなたの顔を(カメラで撮影してAIで)認識し、あなたを見張っている」。

CNNがあなたに伝えるすべてのことが本当に正しいかどうか気を付けるべきだ。

CNNや米放送ネットワーク大手の「フォックスTV」が伝えていることも

疑ってかかった方がいい。BBCが報じていることもだ。

すべてが間違っているわけではないが、一方の視点に過ぎない。

もしあなたが、世界の別の見方を知りたいなら、ほかの視点にも触れた方が

よっぽど役に立つ。もちろん中国やロシアのメディアが報じていることは

正しくないかもしれない。しかし、米国務省の片腕のようになっている

印象さえあるBBCばかり見るよりも、バランスを取ることができる。

そして、私たちの子供たちの世代は、世界を大きく異なる形で見ることに

なるだろう。中国は繁栄し、ほかの新興国もかつてより豊かになっている。

私の生涯において米国は常にナンバーワンだった。

しかし、こうした常識は今、変化する過程にある。

このため、子どもたちの世代は、ファーウェイをセキュリティーの脅威で

悪意のある製品を作っている会社と見なさない可能性がある。

若者たちは、ファーウェイ製品は素晴らしいと言うかもしれない。

好むと好まざるとにかかわらず、多分中国は21世紀で最も重要な国になって

いる。地図を見ると、世界で何が起こっているのかが分かり、世界が劇的に

変化していることを知ることができる。

1800年代にイギリスは産業革命により世界を支配する巨大な帝国となった。

もし北朝鮮と統一されたら、韓国でエキサイティングなことが起きるだろう。

しかし、21世紀に韓国が、かつての英国のような存在になることはできない

はずだ。

 

・中国から得たインスピレーション

 

これまで私は多くの間違いを犯してきたが、最大の失敗は1980年代に

アジアに移住しなかったことだ。

中国は私に最高のインスピレーションを与えてくれた。

私はすぐに彼らが勤勉で、野心的で、文化的で、偉大な歴史を持ち、教育を

受け、非常に一生懸命であることを知った。

彼らは邪悪で恐ろしい人々ではなかった。

私は中国各地を旅行して回った。だから私は米国に戻ってから、これからは

中国の時代が来ると連呼した。

私が正しかったのは、私が中国各地を旅して回って、中国人が朝5時に起きて

仕事に行く姿を見ることができたからだ。

彼らは一生懸命仕事をし、生きるためにできる限りの努力をしていた。

共産主義の中国でも、そこに住む中国人は完全に共産主義者ではなかった。

むしろ彼らは偉大な資本家の素質があり、私はそれを自分の目で見ることが

できた。だから私は中国、中国と言い始めた。しかし、それだけでは不十分で、

私自身が中国に移住すべきだった。

中国は1949年に共産党が国民党との戦いに勝利した後の40年間は共産主義

だったが、それ以前とその後は資本主義的な世界だった。

中国は何千年にもわたり、本質的には資本主義的な社会だったと私は考えて

いる。

1000年前の中国人は非常に成功しており、欧州よりもはるかに進んでいた。

彼らは印刷技術、火薬、羅針盤、紙を欧州よりも先に発明していた。

欧州で科学が発展するよりも、はるか前にたくさんのイノベーションを生み

出していた。

中国は世界で唯一の、偉大な時代を繰り返し経験した国だと私は考えている。

英国はかつて偉大だった。エジプトもそうで、ローマ帝国もかつて栄華を

極めた。だが、その後は復活していない。一度栄えて衰退した国は通常は

再び繁栄しないものだ。しかし中国は3、4回も復活を遂げている。

彼らは大惨事を何度も経験し、国が崩壊したが、またよもがえった。

中国はどん底を経験しても、再び復活して繁栄している唯一の国だ。

最近の中国の成長ぶりをみると、このような歴史がまた繰り返しているように

思える。

 

 

この続きは、次回に。

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