ブランディングが9割 ⑧
✔ あなたのブランドが存在するのは何のため?
企業の多くは、企業理念や社是(しゃぜ)、クレド(よりどころとなる信条、
価値観)など、企業としての使命や果たすべき役割を掲げていることで
しょう。
ここで企業理念や社是の違いについて議論はしませんが、重要なことは、
あなたのブランドが企業としての使命を果たすための存在かどうか、一翼を
担っているかどうかということです。
マネジメントの父、ピーター・ドラッカーは、『ドラッカー5つの質問』
(あさ出版)の最初の問いで、「われわれのミッションは何か」を聞いて
います。
「ミッション」とは任務や使命のことを言います。
使命とは「命を使うこと」、つまりブランドとして「命を懸けて果たさ
なければならない任務」のことです。
「何のため?」を問うことが、ブランドにおいてとても重要なのです。
なぜかというと、人間同様、信念のないブランドにはなかなか共感して
もらうことはできないからです。なんとなく格好良く、なんとなくオシャレで
統一感があり、なんとなくデザインの良いブランドはいくらでもあります。
しかし、それだけでは、短命で終わるファッションのようなものです。
ブランドは長年にわたって構築していくものです。
信念や理念を掲げ、それに共感してもらうことで、強いブランドを構築
することができるのです。
● ミッションの重要性
ドラッカーはさらに、著書『マネジメント—基本と原則』(ダイヤモンド社)で、
「事業の目的は利益ではない」と言っています。ブランドも同様でしょう。
組織は人と社会の役に立ってはじめて、存在する意味があります。
企業の目的は利益を上げることではなく、利益は企業にとっての責任であり、
目的を果たすための条件なのです。
ブランドの現状分析を行うにあたっては、企業としてのミッションを確認し、
その上で、より強い使命を持ったブランドを築いていくことを目指しましょう。
✔ 成功するブランドは、「こうすれば勝てる」が明確
「自社の強み」を生かし、「顧客のホンネ」を探り、「競合と差別化」
できるところこそが、ブランド戦略の根幹となり、ブランドの提供する
価値となります。
自社にとっては「こうすれば勝てる」というところです。
ブランドが提供する価値とは、わかりやすく言うと、ターゲットとなる
顧客が「そうそうこんなのが欲しかったの」と思わず引き寄せられる、
他社にできない自社ブランドならではの特徴を言います。
とはいっても、企業側が良かれと思って提供したものと、お客さんが求めて
いるものにギャップがあるケースは、よくあります。
成功しているブランドは、「こうすれば勝てる」というブランドの提供価値が
とても明確です。
お客さんにとっての価値が何かがわかれば、決して難しいことではありません。
その価値を高めていくのがブランディングです。
価値を高めて打ち出し、その価値をお客さんが認めれば、金の食パンのように、
高くてもたくさん売れるのです。
✔ 客観的事実や特徴から自社の強み・課題点を探る
「こうすれば勝てる」というところを見つけるために、まずやるべきことは
「自社の強み」の分析です。
お客さんからしてみれば、ブランドに明確な「強み」がないのなら、その
ブランドである必要はありません。同等の品質で価格の安い競合が現れれば、
そちらに移って言ってしまうでしょう。そうなると、価格競争が待っており、
血みどろの戦いをしなくてはなりません。
つまり、レッドオーシャンということになります。
「強み」とは、自社のこだわりの部分であり、他社に対して優位性のある
ところを言います。強いブランドは、そこが明確です。
まずは、客観的事実や特徴などから自社の「強み」を探し出していきましょう。
同時に、「課題点」も忘れずにチェックしましょう。
この続きは、次回に。