ブランディングが9割 ⑰
✔ 差別化とは、自社のユニークさを顧客に価値と認められること
自社のブランドの立ち位置によって、戦い方が変わるということをお伝え
しました。リーダーはリーダーとして、チャレンジャーに対して常に「違い」を
出し、強固な1位を確立していかなければなりません。
同様に、チャレンジャーは「違い」を出すことで1位を奪取しなければ
なりません。
競合ブランドと自社ブランドとの「違い」を明確に出していくことを、
差別化と呼びます。言い換えれば、差別化とは、「競合が真似できない
ような、自社にしかできない独自のユニークさがお客さんに魅力的な価値と
認められること」です。
では、なぜ差別化が必要なのでしょうか。
それは、第2章で説明した「自社の強み」を出し、第3章で説明した「顧客
インサイトに基づくニーズ」にどれだけ応えたとしても、競合が同じような
商品やサービスを展開したら、厳しい競争が待っているからです。
じきに安売り合戦による低価格競争が始まり、レッドオーシャン(競合の
多い市場)での血みどろの戦いとなってしまいます。
しかし、競合にはない違いを出してうまく差別化を図れれば、誰にも邪魔
されず、どこにも負けない領域(ブルーオーシャン)を、自社ブランドで
ほぼ独占することができます。
この陣地を探し、価格プレミアムを生むことが、ブランド戦略の勝利の
要因となります。
✔ 特定の分野で特徴ある「1番」を目指そう
ブランドの世界では、2位じゃダメなのです。
ブランディングは、お客さんの頭の中にブランドを刷り込む作業です。
多くの分野のブランド認知率のデータを見ても、2位以下の認知率はどんどん
下がりフォロワーブランドに至っては10%を切っているのが普通です。
したがって、マインドシェア(お客さんの頭の中のブランド占有率)を高める
には、1位をとることがとても重要なのです。
・自動車といえば? コンビニといえば?
「自動車といえばトヨタ」「コンビニといえばセブン-イレブン」のように、
強いブランドには「○○といえば」の後に必ず自社ブランドがきます。
ほかにも、「ファストフードといえばマクドナルド」「おむつといえば
パンパース」などが挙げられます。
小売りの現場では、カテゴリーの1番手のブランドは、スーパーやドラッグ
ストアなどで棚、つまり、売るための場所が優先的に用意されますが、
2番手3番手のブランドは、販売促進の支援や仕入れ値などで良い条件を
出さなければ、なかなか売り場スペースを確保できないのが現状です。
棚が優先的に確保されやすいPBもこの争いに参戦しているため、より
競争は厳しくなっています。
メーカーは棚スペースを確保するのに本当に必死です。
メーカーとしては、小売り側から「あなたのブランドを当店でどうしても
販売したい」と言われるような商品づくり・ブランドづくりが必要でしょう。
なんとしても様々な小売りから「取り扱いたい」と言わせるためにも、
1番手を目指し、「○○といえば」のあとに必ず自社のブランドがくるように
なることを心がけたいところです。
この続きは、次回に。