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書籍「すごい物流戦略」ZARA④

● 店舗モデルを本社内に作り、商品展開方法などを世界に発信

 

2018年2月現在、インディテックスが展開する店舗数は7475店舗あります。

世界的なブランド展開を考えたときに、国ごと、エリアごとに展開する

イメージが異なっていたのではブランドの認知はなかなか進みません。

もちろんすでに世界100ヵ国近いエリアで2000店舗以上を展開している

ZARAは、そのロゴがファサードに掲げられているだけで、イメージが

浮かびます。しかし、ブランドが醸し出す店内の雰囲気ということに

なると、とにかく商品が早いスピードで回転することもあって、なかなか

共通したイメージにはなりません。そこでブランドイメージの徹底のために

インディテックスがとっている手法が、商品展開の基本となる店舗モデルを

パイロットとして本社に構築し、全世界共通のものとして発信している

ことです。商品が入れ替わるたび各国ごとに「このとおりの店を作って

ください」と徹底しているそうです。

 

● 売上げの1割を占めるZARA.com

 

インディテックスは今、オンライン(EC)とオフライン(実店舗)の在庫管理

システムを、1つのシステムに統合しようとしています。

私が、オムニチャネルの3つの必須条件としているうちの1つ「在庫の一元

管理」を行なおうとしているのです。すでに、2017年にスペインで、

2018年6月中旬時点で20の市場で導入され、2018年末には世界のすべての

市場で導入完了する見通しです。

このようにリアルとネットとの融合を積極的に進めている同社ですが、

今回、本社取材をした際に各ブランドの店舗をいくつも見て回るなかで、

そうしたことを実感することができました。Stradivariusの店舗に行った

際には、店内、店外を問わず「SHOP ONLINE OPEN 24H STRADIV

ARIUS.COM」と表示されているのをいくつも見かけました。

本章の冒頭でふれた東京・六本木のZARAのポップアップストアも、ショー

ルームとオンラインショップというリアルとネットとの融合の一形態です。

そこでここでは、現在ZARAが展開するオンラインショップ「ZARA.com」に

ついてふれておきたいと思います。

 

現在ZARA.comの売り上げは、すでにインディテックスの世界売上げの

12%を占めています。同社がオンラインストアをスタートしたのは2010年と

決して早くはありません。当時、すでに世界5000店舗の出店を達成して

いました。翌2010年には日本でのオンラインストア対応が始まり、

オンラインストアからグループのブランドが購入できるようになりました。

8ブランド、いずれのオンラインストアからでも、ほかのブランドの商品が

購入できます。

オンライン上の商品は世界で20ヵ所にあるEC専用の物流センターから、

大都市圏は当日配送(Same day delivery)、その他の地域でも翌日配送

(Next day delivery)が標準になっているそうです。

“Speed Logistics”はオンラインショップでも実践されているということ

ですね。ちなみに商品の発送に使用される段ボールはリサイクルだそう

です。

インディテックス本社の中にインターネット販売部門のセクションが

あります。そこには、巨大なスクリーンに映し出されたZARA.comの

画面には、リアルタイムの情報がいくつも表示され、ちょうど訪問時は

現地時間の日中でしたが、

「Active user 46,606 Spain6,789,Japan3,622,Italy,France,UK,Pussia」と

いう順にユーザー数が表示されていました。

このときスペインはもちろんのこと、ほかのヨーロッパ諸国も日中でしたが、

日本では深夜にあたります。そんな時間帯なのにアクセスがスペインに

次いで多いということに、びっくりしました。

それだけ日本にはZARAファンが多いということなのでしょう。

また、オンラインストアでどんな検索ワードが入力され、その結果、

商品発見につながったのかどうかが、ひと目でわかる仕組みも導入

されています。

検索に使われたキーワードは「オレンジ」で表示され、商品発見に直結

した場合は「グリーン」、商品発見に至らなかったときは「ピンク」の

表示に変わります。

オンラインストアで販売する商品の撮影は、衣類用として50坪ほどの広さの

スタジオが9つ、そのほかに小物と子ども用商品の部屋が用意されています。

 

 

この続きは、次回に。

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