Coffee Blake-令和3年7月17日(土) 読売新聞「あすへの考」⑥
記事内容-⑤
中国とどう向き合うかも大きなポイントです。中国の高成長は当分続き、
2030年ごろには、米国を抜いて世界最大の経済大国になるとみられて
います。
一方で米中「新冷戦」の余波で、米国が、中国との間で経済のデカップ
リング(切り離し)を進めています。このまま世界経済は米中欧の3極を
中心としたブロック経済に移行する可能性があります。
中国では、経済力に加え、技術力も急ピッチで向上しています。
これまでのグローバルスタンダードだった「米国基準」に対抗する形で、
「中国基準」が世界で広まっています。例えば技術や商慣習、金融などの
分野です。
日本は中国を中心としたアジア経済圏の構築に自ら参画していくのか、
それともその枠組みと距離を置くのか、という選択を迫られるかもしれ
ません。
日本は「自由」や「民主主義」といった価値観を中国と共有していません。
隣にそうした大国が出現している現実は、重大な脅威です。
日本は当面、米国と協調して中国と対峙すべきです。
ただ、中長期的な戦略も必要です。価値観を共有しない中国と一定の距離を
保つには、日本は、中国向けの輸出に依存せず、完全な消費主導経済に
シフトする必要があります。
その意味でも日本は従来の「輸出立国主義」を脱却し、内需に軸足を
置いた「コンパクトな消費国家」に変わるべきです。1億人の市場が
あれば国内市場だけでも十分な収益を得ることができます」
耳が痛いことかもしれませんが、日本では自国に優れた技術力と輸出
競争力があることをいまだに前提として議論をしています。
「豊かな国」になるために、今一度、現状を見つめ直す必要があると
思います。
● デカップリング(切り離し)
デカップリングは英語で「切り離し」「分離」などを意味する。
元来は安全保障の専門用語として使われた。
「米中経済デカップリング」は、中国がハイテク分野で優位に立つことを
阻止し、米経済の中国依存度を下げるべきだという考え方。
● ブロック経済
ブロック経済とは、自国と植民地を中心に経済を回して、自国にとって
不利益となる他国からの貿易をシャットアウトする経済の仕組みのこと
です。1930年代にイギリスやフランスなどの植民地を持つ国でブロック
経済が流行るようになりました。ブロック経済を実施すると、お金(経済)は
本国と植民地の間でしか動かなくなります。このお金の動く経済圏のことを
ブロック(bloc)と呼びます。
ブロック経済のブロックとは「塞ぐ、封鎖する」という意味の”block”では
なく、「圏、連合」という意味の”bloc”です。(英語の豆知識)ブロック
経済のメリットは、身内だけで経済を回せるので、他国の経済がボロボロに
なってもその影響を受けにくい点にあります。
ブロック経済を成功させるには、国家が国の貿易に介入して、他国との
貿易を制限しなければなりません。このような、国家が深く介入する貿易の
ことを「保護貿易」と呼びます。
反対に国家の介入や干渉のない自由な貿易形態を「自由貿易」と呼びます。
● グローバルスタンダード
世界標準(せかいひょうじゅん、英: international standard)または
グローバルスタンダード(英: global standard)とは、技術分野における
国際工業規格・国際会計基準など、準拠すべき枠組みとして国際的に一定の
拘束力を持つ標準、規格、規則を示す語である。
● 参画
事業・政策などの計画に加わること。「法律案の作成に参画する」
● 協調
互いに協力し合うこと。特に、利害や立場などの異なるものどうしが
協力し合うこと。「労資が協調する」「協調性」
● 価値観
物事を評価する際に基準とする、何にどういう価値を認めるかという
判断。「価値観の相違」
● 消費主導経済
消費主導経済への移行
前節でみたとおり、中国経済は過剰投資や過剰生産能力の調整を進め
ながら持続的な成長軌道への移行する過程にある。中国の投資比率が
他の新興国、更には先進国並みの水準に低下していくためには、投資
主導型から消費主導型の成長への移行、特にサービス業の成長を促進
することが重要である。本節では、中国の消費比率が他国と比較して
低い水準にとどまっている要因を分析した上で、消費主導経済への移行や
経済のサービス化の進展度、近年急速に発展しているインターネット
消費や観光消費の動向について概観する。
□ 私見
私は、貿易の知識については、うといです。
そこで、インターネットで検索しますと、
● 日本の輸出相手トップ10の移り変わり
2013年以降はアメリカが再び1位となった後、2018年に中国が6年ぶりに
トップへ返り咲きましたが、2019年はアメリカが中国を上回り、トップに
なりました。 3位以下の輸出先は、韓国、台湾、香港、タイなどのアジア
諸国(しょこく)や地域が多くを占(し)めています。
● 貿易相手国上位10カ国の推移(輸出入総額:年べース)
<2019年 総額 1,555,312億円>
1. 中国 331,357億円 (21.3%)
2. 米国 238,947億円 (15.4%)
3. 韓国 82,709億円 (5.3%)
4. 台湾 76,162億円 (4.9%)
以下、省略。
このように、中国と米国に依存している割合が高いと思います。
また、中国と米国との差は、約100,000億円。
中国に対する依存度は、より高く、政治的にも影響が出るように思います。
日本は今後、小子高齢化に向かい、労働人口も減少すると言われています。
● 少子高齢化(しょうしこうれいか)
ある国や地域において、少子化と高齢化が同時に進行すること。
出生率の低下と平均寿命の増大が同時に進行することにより、若年者の
数と人口に占める比率がともに低下し、高齢者の数と人口に占める割合が
ともに上昇していくことである。
以上より、日本の場合、「国内総生産( GDP)の成長率」はどのようになっていくのでしょうか。
● 日本はそれほど豊かではない?
実は、一人当たりGDPのランキングの上位にルクセンブルクやシンガ
ポールなど、人口の少ない国が多く含まれています。
小国の特殊要因が影響している可能性もあります(※4)。
実際、人口が5,000万人以上の国で比較すれば、日本の一人当たりGDPは、
購買力平価換算では世界第6位となり、GDPの順位との乖離は小さくなり
ます。そう考えると、世界第3位であるかはともかくも、日本は依然として
世界で有数の豊かな国であるといえそうです。
2020年に公表された2019年のデータによると、日本のGDPランキングは
世界第3位となっている。
●日本(GDP:5兆2200億ドル)
世界第3位の経済大国は、技術・電子大国の日本です。
2010年に中国に抜かれるまでは、世界第2位の地位を維持していました。
日本の名目GDPは5兆2200億ドルです。2019年の成長率は約1.1%でした。
2020年は0.6%の成長にとどまると予想されています。
31人当たりGDPは4万1420ドルと米国に迫る勢いです。
2一方、2008年の金融危機以降、日本の景気は低迷しており、国の債務
残高は236.6%と世界で最も高い水準にあります。4
農業、観光そしてサービスの各セクターは日本経済の成長に大きく貢献
しています。
私が満54歳までは、世界第2位だったのですね。そして、ここ10年間は、
世界第3位を維持していることになります。
昨日-2021.7.16の読売新聞に〝中国成長7.9%増 4〜6月〟と掲載されて
おります。日本の成長率と比較しますと大分、「差」があります。
三菱総合研究所理事長の小見山 宏氏が、日経新聞「私の履歴書」で
このように書かれていました。
「少子高齢化の日本社会で、国内総生産(GDP)が増えれば、人が幸せに
なるという発想はもう古い。途上国のものだ。逆に、人を幸せに生活を
よくしようとすれば、イノベーションが起きて新しい産業が生まれ、
GDPは増える。今の豊かさを保つつ、人の自己実現が可能となる社会が
理想である」
「豊か」であることは、嬉しいのですが、「貧困で、国が滅びる行為」が、
世界では起こっています。
「平和」で、それなりに生活ができれば、〝吉〟と思う「日常」が良いと
思います。
2021.7.17
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美