Coffee Blake-令和3年9月15日(水) 「Opinion」
今日は、日経新聞-令和3年9月8日 Opinion Deep Insight「起業の連鎖が
始まる予感」の記事をご紹介致します。
新聞を読んでいますと、つい「起業」「創業」という文字に目がいって
しまいます。
現在、新型コロナウイルスの影響拡大で、業績が悪化している企業も多々
あります。特に、航空業界や旅行業界、外食産業や飲食業界は多大な
影響を受けているようです。
その影響もあるのでしょうか、早期退職者募集、人員削減等々の記事も
よく目に致します。
だからと言って、即〝起業しましょう、創業しましょう〟とは申しません。
今回、ご紹介する記事は、〝起業家〟としての一つのモデルケースと考えて
見てはいかがでしょうか。
● 「二度あることは三度ある」ということわざがあります。
二度あったことは必ずもう一度起こるということわざで、物事は繰り返し
起こる傾向があるため、失敗を重ねないようにせよ、との意味もある。
理化学研究所は5月24日、この現象に関する新発見を発表した。2016/05/24
あの時に、〝起業していれば良かった、創業していれば良かった〟と
後悔しても始まりません。
●「後悔先に立たず」ということわざ があります。
すでに終わったことを、いくら後で悔やんでも取り返しがつかないと
いうこと。
私が申し上げたいのは、「二度あることは三度ある」かもしれない、
その際には「後悔先に立たず」と思わないように、「日常」を大事に
して欲しいということです。
● 「備あれば憂いなし」ということわざがあります。
前もって準備を整えておけば、いざというときに何が事が起きても心配
無用であり、という意味のことわざ、故事成語。
常日頃の準備が非常に大切であるということ。
それでは、ご紹介致します。
2021.9.15
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美
Opinion Deep Insight
起業の連鎖が始まる予感
デジタル化や産業構造の転換のスピードが遅く、停滞感を否めない日本。
課題は山積するが、日々の取材で変化の兆しも感じてきた。
さまざまな経歴の起業家が増え、人材の流動化を促しているのではないか、
ということだ。
実際、どうなのだろう。主要ベンチャーキャピタルのひとつ、ANRIの
協力で、同社が投資するスタートアップ企業のうち集計が可能な起業家
143人について、その歩みを調べてみた。
最多は、急成長したネット企業などメガベンチャーを含む「大企業出身」で
全体の36%。「大企業とスタートアップ両方を経験」を足すと、過半数が
大企業で働いたことのある人材だ。
伝統的に起業の主役だった「学生・研究者出身」の28%を上回る。
かつて、結婚して子供もいるような人が起業に踏み切る例はまれだったが、
今は普通にある。もはや起業は特殊な選択肢ではなく、やりたいことを
実現する手段、キャリア設計の一部だとして進路にする人が目立つ。
代表的な声を聞いてみよう。
流通業者がネットスーパーを始めるのを支援する10X(テンエックス)を
興した矢本真丈氏。
丸紅を振り出しにNPO、スタートアップ、メルカリを経て2017年に起業
した。
「解きたい社会的課題に自分のリソース(能力)を100%投入できる」
起業したころ、2人目の子供が生まれた。
家族のために多くの時間を割きたいと仕事は夕方5時までと決めた。
それでも十分に成果を出せた。「家庭を捨てなくていい働き方だ」。
起業の決断は軽くないが、悲壮感漂う決死の覚悟で、というものでもない。
もうひとり、テクノロジーを活用した学習塾を運営するコノセル(東京・
新宿)を20年に創業した田辺理氏は言う。
「自分が起業するとは考えもしなかったが、多くの起業家を見て身近に
感じ、特別なことではないと思った」
日本政策投資銀行などで働いてきたが「いまもほぼ同じスキルを使う」。
起業した途端に仕事の本質が一変するわけではない。
もちろん起業で成功する保証はどこにもない。しかし、いちかばちかの
賭けでもない。
10Xの矢本氏は起業について「崖から飛び降りる感覚ではなく、着実に
階段を上がっていくような意思決定をするのが大事」と訴える。
それには「小さく試して実感を得る」のが有効だ。
製品を試作して売ったり、スタートアップを手伝ったり。
そういう経験がもやもやを晴らし、起業への安心感に結びつくという。
確かに、ネットショップを手軽につくれるサービスなど、起業プランを
試す道具がいまは豊富にある。
仲間を募りやすい状況も起業家には追い風になる。
スタートアップに人材を紹介するフォースタートアップによれば、紹介
手数料(年収の4〜5割程度)の平均単価は約280万円と、この3年で17%増えた。
年収アップを反映するデータだ。
ベンチャー投資が拡大し、スタートアップが人件費に回せるお金が増えて
いる。いい人材を確保するための経済的なハードルは低下する傾向にある。
まだある。パーソルイノベーションが手がける副業マッチングサービス
「ロッツフル」では、21年上期に大企業で働きながらスタートアップで
副業を始める人が20年下期の1.5倍に伸びた。
スキルを高め、視野を広げたい。そう考える人が大企業内で増加している
のが背景だ。
スタートアップにとっては即戦力をつかむ機会となる。
ANRIの起業家分析に戻れば、電機や自動車、医薬などメーカー出身者の
多さも目を引く。代表パートナーの佐俣アンリ氏が語る。
「いろいろな産業から、自分の業界の生産性を上げたいとスタートアップと
いう手法を選ぶ人が次々と出てくるのではないか」
就職人気が高く、強い求心力を見せてきた総合商社を飛び出し起業する
人も珍しくない。
「若いうちに権限と裁量を得て、小規模でも手触り感のある仕事をしたいと
いう人が増えている」。
リクルートの松阪真吾氏はこうみる。
起業やスタートアップの人口が膨らむ素地はある。
こうした潮流が本物になれば、日本の産業界を活気づけるきっかけになる。
ネットでコンサルタントを仲介するビザスクは8月、同業の米社を112億円
ほどで買収すると発表した。
年間売上高が16億円の会社にとって思い切った動きに思えるが、「似た
もの同士で、仲良くやれそうだ」とビザスク創業者、端羽英子氏に気負いは
ない。
外資系金融などに勤めた後、起業したのは12年。シングルマザーだったが、
「仮に失敗したら、また就職活動すればいい」。
日本で事業を磨くうち海外のライバル企業からも一目置かれる存在となり、
この分野で世界一をねらうチャンスが巡ってきた。
スケールの大きい挑戦が乏しい、研究開発型のディープテック領域が手薄、
女性が少ない—-。日本の起業には弱点がたくさんある。
高い山をめざすなら、起業の裾野を一段と広げる必要がある。
起業をテコに人材が動き、能力発揮の場が増えているのは間違いない。
まだ局地的だが、大学に加え、会社でも周囲に起業する人が現れ、「ならば
自分も」との気分にさせる環境ができつつある。
起業の連鎖が始まる日は意外に近いのではないか。日本のプラスだ。
本社コメンテーター 村山 恵一
● さまざまな経歴の起業家が増えてきた
① ANRIが投資する143人を見ると
大企業出身(メガベンチャー含む) 36.3%
大企業とスタートアップ両方を経験 15.4%
学生起業/研究者出身 28.0%
スタートアップ出身(起業含む) 20.3%
② 主な出身大企業
11人—リクルート 4人—-ディー・エヌ・エー
3人—グリー、サイバーエージェント、ソニー、
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)
2人—楽天、グーグル、ソフトバンク
(注)会社名を確認できたケースのみ。各社のグループ企業を含む。
● 「手段としての起業が広がる」
丸紅▶︎NPO▶︎スタートアップ▶︎メルカリ▶︎起業
10X 矢本氏
・いろいろ経験した結果、起業が選択肢に
・社会的課題に自分の能力を100%投じる働き方ができる
日本政策投資銀行▶︎BCG▶︎スタートアップ▶︎起業
コノセル 田辺氏
・自分は普通の人。環境から影響を受け起業
・これまでの仕事の進め方、問題解決の仕方がそのまま役立つ
ベンチャー投資拡大が人材確保の追い風に
2018/3 約238万円
2019/3 約248万円
2020/3 約258万円
2021/3 約278万円
※ スタートアップの年収増で人材紹介手数料の平均単価が上昇。
※ (注) フォースタートアップスの資料を基に作成。
いかがでしたでしょうか。
「貴方の生き甲斐、働き甲斐、やり甲斐」は、何ですか。
私は、この言葉をいつも自分に問いかけております。
2021.9.15
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美