「人を動かす人」になれ! ⑥
8. ともに酒を飲み、食事をとれ
● 創業した当時のわが社は、国内の企業からまったく相手にされず、
仕方なく海外(アメリカ)へと活路を求めた。スリーエム、トリン、
IBM、ゼロックスなどアメリカの一流企業との取引がはじまると、
日本の企業から「おたくの会社でIBMに納めているモータ、あれと
同じものが欲しい」といった注文が入り出す。
それも名の通った一流企業ばかりだ。そうした国内のニーズにも応え
ながら着々と国際化を推進してきたが、その最重テーマが、世界に
通用する人材の育成であった。
● 現地を訪ねたときには、時間の許すかぎり彼らと話し合い、食事をし、
酒を飲む。彼らが弱音を吐いたりすると「そんな弱気で、どうするんだ」と
口で叱咤しているが、心のなかは「すまない」と言う気持ちでいっぱい
なのである。
● 活路
1. 追い詰められた状態から逃れ出て生きのびる方法。「―を開く」
2. 生きてゆく手だて。生活手段。「―を断たれる」
9. 自分のポストを脅かす部下を育てろ!
● 私は基本的に成長論者である。企業は存在するかぎり、常に成長し
続けなければならない。成長なしに企業の活性化は、図れないと
考えている。
これは、いまの日本の状況を見ればよくわかるはずだ。
経済成長が止まる、あるいは後退しはじめると、企業はこぞって
生産量を調整する。当然余剰人員が生まれて、失業者が増える。
消費はますます落ち込んで、経済はさらに低迷する。
この悪循環が繰り返されると、やがて国は滅びてしまう。
● 企業も成長が持続しなければつぶれてしまうか、現状維持が精一杯で
バイタリティーも活力も感じられない企業として細々と事業を続ける
しかない。身近なところでいえば、会社の成長が止まると新入社員が
迎えられなくなる。そうすると、その前の年に入社した社員は、いつ
までも下っぱ社員であることを余儀なくされる。
これではいつまでたってもチャンスは巡ってこないし、やりがいのある
仕事にチャレンジすることもできない。
このことは、自分の所属している部門やグループにも当てはまる。
部門の業績があげられなければ部下も増えず、上にも行けない。
やがて、職場全体に沈滞ムードが漂い、全員が仕事への情熱、熱意、
執念を失ってしまう。では、どうすれば業績があげられるのかといえば、
部下をしっかりと育てることだ。
たとえば、現在のポストが係長なら、自分の部下を係長に育てる。
課長であれば、係長を課長にする。そうすれば業績は自然に伸びて
いく。そんなことをすると自分の立場はどうなるかと考える人は、
組織のことがまるでわかっていない人だ。
結論から先に言うと、係長を育てることができなければ、自分がいつ
までも係長をやらないといけない。また、係長を課長にできないような
人間に、次長や部長の席を任せることなどできるはずがないのである。
こう考えていくと、自分のポストは自分で決められないことがわかる
はずだ。「会社はオレの実力をわかっていない」とグチをこぼすより、
部下を動かし、育てることに専念すべきである。
● バイタリティー
・バイタリティは生命力を表す言葉
国語辞典によると、バイタリティとは活力や生活力、いきいきとした
生命力を表す名詞です。
・英語の「vitality」の意味
バイタリティの語源は、英語の「vitality」。この言葉は、生命力や
活力、体力、生活力、活気、元気、持続力、持久力などの幅広い意味で
使われています。
● 余儀なくされる
やむをえず、そうせざるを得ないさまを意味する表現。
「余儀無い」が「やむを得ない」という意味。
この続きは、次回に。