「人を動かす人」になれ! ㊿+19
8章 リーダーの敵は、妥協である
● 妥協
対立した事柄について、双方が譲り合って一致点を見いだし、
おだやかに解決すること。
「―の余地がない」「安易に―する」「―案」
72. 自分が働くことが好きでなければ人は動かない。
会社の経営なんて実に単純明快である。原理原則に従って、当たり前の
ことを当たり前にやる。これ以上でもなければ、これ以下でもない。
〝継続は力なり〟という言葉があるが、唯一継続こそが力であって、
誰にでもわかっている当たり前のことを、いかに持続させていくか。
極論すると勝負を決するのはこれだけだ。
われわれは小学校のときに、「日本は天然資源の乏しい国で、海外と
競争をして勝てるのは勤勉で優秀な労働力だけだ」という風に学んだ。
事実、わが国がアメリカと肩を並べる経済大国にのし上がることができ
たのは、かつて日本人がそれこそ寝食を忘れて働いた結果であることは
明白であろう。
ところが、豊かになるにつれて、やれ休みがどうだとか、労働時間が
長すぎるといったことばかりが議論され、特にバブル期には一生懸命
働くことが罪悪であるかのような気風さえ蔓延していた。
つまり、苦を放り出して楽だけを求めようとした。しかし、これは原理
原則に反する行為だ。その反動でいまの不況を招いたわけだが、企業は
やれリストラだ、スリム化だと安易な道ばかりを選択し、社員に「もっと
働こう」とハッパをかける経営者のほとんど皆無である。
このようにいうと、「ただでさえモノあまりの時代に、そんなにモノを
つくってどうするのか」といった反論が返ってくる。
しかし、モノはまったく売れていないのだろうか。
いかに不景気であろうが、消費がゼロになったわけではない。
より多くの人たちに必要とされるモノをつくり続けるかぎり、モノが
売れなくなることはない。必要とされるモノをつくり出す努力を怠った
からモノが売れなくなったのである。
いかなる時代であっても、経営者には社員に対して、「もっと働こう」と
胸を張って言える信念と自信が不可欠である。
社員にこう訴えるかぎりは、経営者は社員の二倍、三倍働かなくては
いけない。わたしは創業以来、三六五日フル出勤、正月もなければ、
夏休みもない。朝七時には一番乗りで出勤し、夜は九時、一○時まで
働くのが当たり前になっている。
昭和一九年生まれのわたしは、本格的な後継者づくりを真剣に考えはじめ
ているが、その条件はたった一つ。日曜の夜が楽しく、月曜の朝はもっと
ワクワクするという人物だ。いくら経営センスにすぐれていたり、能力が
高かったとしても、休みの前日になると生き生きして、月曜の朝にしょぼ
くれているような人物に大切な会社は任せられない。
● 単純明快
文章や物事が、すっきりしていてわかりやすいこと。 [活用] ―な。
● 原理原則
物事の原理と原則のこと。 「原理原則に基づいて行う」といった具合に、
「原理」と「原則」の部分を特に強調したい場合に使われる表現。
● 継続は力なり
皆さんもその意味は知っていると思いますが、どんなことでも継続し続け
てい くことが成功の重要な要因で、コツコツと努力を続けていけば、
いつか必ず目標 は達成できるという意味です。
● 寝食を忘れる
物事に熱中して、寝ることも食べることも忘れる。
物事を熱心にするさまにいう語。
● 気風
気性。気だて。特に、ある集団・地域内の人々に共通する気質。
「代々伝わる進取の―」
● 蔓延
つる草がのび広がること。病気や悪習などがいっぱいに広がること。
「ペストが―する」
この続きは、次回に。