お問い合せ

「人を動かす人」になれ! ㊿+37

10章 一回でダメなら、二○回続けよ

 

92.ともに笑い、ともに泣ける関係を築いているか

 

テレビを観ていて感動したシーンがあった。わたしはテレビでも悲しい

場面になれば、自然と涙があふれ出してワアワアと泣いてしまうくらい

のめり込んでしまう質だから感動するのは珍しいことではない。

だが、このときは少し中身が違った。

吉本新喜劇の三枚目役の女優がマネージャーと結ばれ、その結婚式が放映

されていたのだが、披露宴の席で司会者が主な出席者にインタビューを

していた。花嫁の晴れの日ということもあり、いつもは舞台で「ブス」

だとか「エゲツない顔してるなぁ」とボロクソにいっている新喜劇の仲間も、

「おめでとうございます」「幸せになってください」といったようにあり

きたりのコメントを贈っていた。やがて、花嫁の父親に順番が回ってきた。

普通なら、涙で声を詰まらせながら、当たり前のあいさつをする場面だが、

このお父さんは真面目な顔をして、次のように言い放った。

「わが娘ながら、見れば見るほどブスですなぁ」

会場は爆笑に包まれ、わたしも思わず吹き出してしまったのだが、同時に

「父親と娘の心が通じ合っているから、こんなことを多くの人前でも

堂々と言えるのだ。このお父さんは理想に近い親子の関係を築いている

実にすばらしい人物だ」と感心させられた。

組織のなかの人間関係、上司と部下の関係もこうでなければならないと

言うのが、わたしの考えである。何万人もの社員を抱える超大手企業なら

いざ知らず、少なくとも中堅・中小企業では、家族的な雰囲気やアット

ホームで人間的な温かみがベースになくては、経営などできるはずが

ないと思う。

勤務時間内さえきちんと働いてくれれば、後は社員の勝手だと割り切り、

プライベートで何をしていようが関心さえ示さない。職場でも、取って

つけたようなお世辞と建前でお茶を濁し、本音で語り合うこともない。

このような経営者、管理者に、部下は信頼してついていくことができる

のであろうか。

たとえ、口をついて出てくる言葉に多少のトゲはあったとしても腹の

なかは真っ白で、嘘偽りがない。だからこそ、お互いにいいたいことが

いえ、うれしいことがあったときにはともに喜び、悲しい出来事があれば

一緒に泣けるのである。会社や組織というのはこのような集団でなければ

ならない。こうした人間集団をつくるのが経営者、管理者の務めでも

あって、これのできないリーダーに人が動かせるはずがないのである。

 

● アットホーム

 

アットホームat home)[形動]自分の家にいるようにくつろげる

さま。家庭的。—–ということは、求人広告内に「アットホーム」と記載

している企業は「お客さん、もしくは従業員が、自分の家にいるように

くつろげる」という意味なのでしょう。

 

● お茶を濁す

 

「言葉を濁す」と混同して使っている人が少なくありませんが、「お茶を

濁す」は「いい加減な言葉や行動でその場をごまかす」といった意味

茶道に通じていない人がお茶をいい加減に混ぜてその場を取り繕った

ことから、この表現が使われるようになりました。

そうやってお茶を濁していると信用を失うことになるぞ。

 

 

この続きは、次回に。

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