ピーター・F・ドラッカー「経営者の条件」㊿+30
あらゆる組織がこの種の活動を抱えたままとなる。特に政府機関に著しい。
政府の計画や活動も、他の組織の計画や活動と同じように急速に古くなる。
だが、政府機関においては、それらは永遠の存在とみなされるばかりで
なく、政府令によって構造化され、議会の族議員と結びついて既得権と
化していく。
このことには、一九一四年頃までのように、まだ政府が小さく社会において
重要な役割を果たしていなかった頃にはあまり大きな危険はなかった。
しかし今日の政府は、その能力や資源を昨日のために割く余裕はない
はずである。だが、アメリカ連邦政府の各種機関の少なくとも半分は、
例えば、すでに三○年前に規制の必要がなくなっている鉄道会社から国民を
守るための活動を今日にいたるも行っている州際交通委員会のように、
もはや規制する必要のないものを規制している。あるいは、農業関係の
プログラムの大部分がそうであるように、政治家の独善的投資、すなわち
成果をあげるべきでありながら成果をあげえない活動を行っている。
今日、政府のあらゆる法令、機関、プログラムが、成果と貢献についての
第三者機関による評価に基づいて延長される場合を除き、すべて臨時の
ものであり、一定の機関、例えば一○年を経たのちには自動的に消滅させる
という、成果本位の新たな行政原則が必要とされている。
一九六五年から六六年にかけて、ジョンソン大統領は、政府関係のあらゆる
機関とプログラムについて、そのような行政原則の検討を指示した。
彼は、マクナマラ国防長官が開発したプログラム・レビューの手法を検討
させた。これこそ、正しい方向に向かっての努力の第一歩であり、切実に
必要とされているものである。
しかしそのような努力も、あらゆるプログラムは有用期限を過ぎてしまって
いることが証明されないかぎり永遠に存在してよいとする考え方が残って
いたのでは、成果をあげられない。
● 既得権
一たび獲得した権利。法的根拠に基づき、すでに獲得している権利。
この続きは、次回に。