P・F・ドラッカー「創造する経営者」㊺
コスト管理の最も効果的な方法は、業績をあげるものに資源を集中する
ことである。コストといえども独立しては存在しえない。
少なくとも意図としては業績をあげるために発生している。
したがって問題はコストの絶対額ではない。対業績比である。
いかにコストが安く効率的であっても、業績をあげないならばコストで
さえない。浪費にすぎない。そしていつになっても業績をあげないならば、
それは初めから正当化されざる浪費だったにすぎない。
機会の最大限の開拓こそ、コスト当たりの業績対比を上げコスト管理と
低コストを実現する王道である。機会の最大限の開拓が中心でなければ
ならない。他のあらゆる種類のコスト管理が、中心的ではなく付加的な
課題にすぎない。とはいえ、機会と業績に向けて仕事と資源を組織化して
いる企業においても、コスト分析とコスト管理は必要である。
いかなる労力も無駄にすることなくマネジメントをすることはできない。
摩擦によるロスなしに機械を運転できないのと同じである。
しかし、摩擦を少なくできるのと同じように、企業活動とそのコストも
改善することはできる。
コスト管理の効果をあげるには、いくつかの原則がある。
第一に、コスト管理は、最大のコストに集中しなければならない。
五万ドルのコストの一割削減に要する労力は、五○○万ドルのコストの
一割削減に要する労力とほとんど同じである。換言するならば、コストも
また社会的な現象であって、その九○%の活動から発生する。
第二に、コストはその種類によって管理しなければならない。
製品と同じように、コストも多様である。
第三に、コスト削減の最も効果的な方法は、活動そのものをやめることで
ある。コストの一部削減が効果的であることは稀である。
そもそも行うべきでない活動のコスト削減は、意味がない。
ところが実際には、コスト削減キャンペーンのほとんどが、いかなる活動
いかなる部門も廃止しないというマネジメントの宣言から始まる。
これはキャンペーンの事前の無効宣言に等しい。
その結果、重要でない活動は数か月には元のコスト水準に戻る。
この続きは、次回に。