お問い合せ

『成しとげる力』㉖

○ 国際社会では〝雑談力〟がものをいう

 

日本人のコミュニケーション能力でいちばん不足しているのは何かと

尋ねられたら、それは「雑談力」であると断言できる。

世界を飛び回り、多くのビジネスパーソンと接していて、そのことを

痛感する。

どの国の人に会っても、日本人ほどおもしろくない国民はいないという

声を聞くのだ。日本人は仕事は優秀でビジネスの話は饒舌だが、食事に

行っても仕事の話しかできない。おもしろ味がないというわけだ。

 

そもそも雑談力とは何か。雑談することでビジネスにおいて力を発揮

できるのだろうか、と疑問に思う人もいるだろう。

私は次のように考える。人の心をつかみ、本音を引き出し、互いの距離を

縮め、人間関係を円滑にする力。リーダーシップを鍛え、チームワークを

築くうえで必須の能力。それが、雑談力である。

 

たかが雑談と思うかもしれないが、雑談をして笑いをとったり、相手を

心地よい気持ちにさせるには、仕事の話ばかりではなく、自国の歴史や

文化、芸術、文学、古典芸能など、幅広い教養も身につけていなくては

ならない。

仕事一辺倒の生活をしていると、幅広い知識や教養などつける余裕も

ない。それでは、仕事はできてもおもしろ味のない人間だという印象

しかもたれない。

 

● 饒舌

 

やたらにしゃべること。また、そのさま。おしゃべり。多弁。

「酔うと―になる」「―な人」

 

○ 「実践的英語」は世界共通インフラになる

 

また、とくに若い人に鍛えてほしいのがディベートの力だ。

自分の考えを筋道立てて、人前で堂々と主張する力がそれである。

日本人は議論が苦手で交渉下手という、不名誉な評価が定着している

のは情けないかぎりだ。

グローバル競争を勝ち抜くためにも、ディベート力は必須な能力である。

 

● ディベート

 

ディベート(debate)とは、ある的な主題について異なる立場に

分かれ議論することをいう(広義のディベート)。

討論(会)とも呼ばれている。

 

○ 実力次第で羽ばたける時代がやってきた

 

「こんなにいい時代はないぞ」と、私はつねづね若い人にいい聞かせ

ている。

これまでの日本社会は、偏差値が高い有名大学を卒業しなければ、いい

会社に入って、安泰な人生を送ることができなかった。

二十歳前後で人生のレールが決められてしまっていたのだ。

しかし、いまやそのような学歴ブランド主義の時代は終わりを告げた。

かつてのように有名大学出身というだけで重宝されることはない。

時代は大きく変わった。実力そのものが問われる時代がようやく到来

したのだ。これからの時代は自分の夢、職業観、理念を大事に生きて

いくことである。

自らの心に火をつけてひたすら前進できる「自燃型」の人間こそが

求められているのだ。

 

だから、若い人には、まず「一番」になれるものを早く見つけてほしい。

どんな人でも才能と実力をもっているはずである。それが見つかれば、

自信をもって人生を歩んでいけるはずである。そして「大ボラ」を

吹いてほしい。旗を掲げて夢を叫ぶからこそ、「成しとげる力」を

発揮することができるのだ。

もちろん大きな変化の時代である。思いもよらない苦難が押し寄せる

こともあるだろう。しかし、再三述べてきたとおり、苦労のあとには

必ず喜びが来る。一つ悪いことが起きたら、必ず二ついいことがやって

くる。これまでの波瀾万丈の半生を振り返り、確信をもっていうことが

できる。だから、大きな困難にぶつかっても、あきらめずに立ち向かって

ほしい。

半世紀前に、わずか四人の若者が「世界一のモーターメーカー」を志して

立ち上げた会社は、いま世界に知られる会社にまで成長した。

そして、私はまた、次のビジョンを実現するために、これからも歩いて

いくつもりだ。

この本を読んでいるあなたに、ぜひそのあとに続いてほしいと思って

いる。

ともに明るい未来を築いていこうではないか。

 

この続きは、次回に。

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