60歳からのチャレンジ起業④
起業のリスクとは?
世間は、起業・創業は最も危険な行為である、とサラリーマンや公務員などの
社会人を戒めますが、果たして本当に起業とはリスキーな選択肢なのでしょうか。
はっきり言えば、実は「逆張り起業は低リスク」なのです。
あなたがごくごく普通のサラリーマンで、近い将来が手に取るように見えるのであれば、
組織に残った場合に、今後どの程度の権限が与えられ、待遇が受けられるかを冷徹に
判断できるでしょう。そうした現状維持、あるいは僅かな改善から得られる損得と、
自分が長らく暖めていた事業プラン、新しい人生設計から生じるリスク・リウォード(危険と
報酬)を冷静に比べて見れば、傍目には無謀と見える起業も意外にリスクの少ない選択肢と
言えるかも知れません。
・捨てる神あれば、拾う神あり
世の中には、ハッキリとこれだという専門性を持っていない人に対しても、経験やノウハウで
評価してくれる人は存在します。極端に言えば、学位・学歴はなくても、特別な業務経験や
ノウハウはなくても、やる気と誠実さがあればそれを見てくれる人はいるのです。
俗に「捨てる神あれば、拾う神あり」と言います。
・起業に向かない人はいない
終身雇用が崩壊しつつある今日、大組織の構成員と言えども、在職中そして退職後の生活が
安定しているとは言い難い状況になっています。
いずれ組織を離れて生きていかなければならない。そして離れる時期が年々早くなっていると
すれば、会社や役所などの勤め先からの自立は、早い時期から準備しておくことに越したことは
ありません。精神的自立は、経済的自立が伴わなければ意味がありません。ならば、定年退職者や
まだ定年まで数年ある中高年にとって、「起業」というオプション(選択肢)は常に持つべきカードと
言えそうです。
組織にもたれ続けている限り、人生を能動的に切り拓いていくことはとても難しいと思われます。
しかし、発想をかえて、「自立をする」と決めたら周囲の様子が大きく違って見えるでしょう。
人生の主人公である自分が、自らの意思で生きると決意さえしまえば、社内政治や人間関係、
あるいは会社のノルマや社会で非常識とされるかもしれない規範などに悩まされることは少なく
なります。定年で働く場所がない、残り数年で定年のいまの職場を辞めると行き場がない、と
思うから苦しいのです。常に自分自身が雇い主になる(つまり、自営独立、起業)という選択肢が
あることを意識し、そのために前もって、少しだけ準備していれば恐れることはありません。
組織に依存しなくなると人間は随分強くなるのです。
「起業に向かない人など、そもそもいない」のです。
もちろん、起業したすべての人が成功するとは限りません。
成功の定義にもよりますが、たとえばこう考えたらどうでしょうか。
① 一人以上の起業の場合、一人で夫婦が老後を暮らす糧を稼ぐ収入を得ることを成功と定義する。
② 二人以上の起業の場合なら、自分を含めた社員に生計を営むに十分な給料を払えることを
成功と考える。
年金で老後を悠々自適で暮らせるのならいざ知らず、場合によっては30年、40年を心身ともに
健康で生きるためには少しは、お金をもらって働くほうがよいでしょう。
60歳定年を2~3年延ばしてもらい、さらに再雇用嘱託採用で1,2年、それが終ったら運動を兼ねて、
また社会との最低限の交わりを残すために、コンビニ店員やビル清掃員になるのなら(こうした職業を
否定するものではありません。老後に敢えて行う仕事か、と問うているのです)、自分が社長になって
会社を起こして、ビジネスの世界に残る(あるいは、移る)というのも悪くないでしょう。
大げさに会社をつくるということはしなくても、インディペンデント・コントラクター(独立契約
社員)、あるいは独立事業者(自営)としてのマイペースで、しかも自分の好きな仕事だけ
請け負うという 贅沢を味わってみたらどうでしょうか。
こう考えれば、独立に不向きな人など、どこにも存在しないことになります。
・成功するために少ないチャンスを活かす
ベンチャーは3年生き延びるのが67%、5年事業を維持するのが50%と言われるが、
チャレンジャーには厳しい環境があることも疑いのない事実です。
高年齢が必ずしもハンディでないこと、あるいはハンディでなくなるやり方があることを示し、
併せて、中高年が起業をして成功するためのヒントを述べてみたいと思います。
この続きは、次回に。