60歳からのチャレンジ起業⑤
・起業は好況でも不況でも可能な四つの理由
第一は、起業家はリーダーであるということです。
リーダーの最大の仕事は、「決断」すること。
小さな会社、ベンチャーや中小企業の創業者や創業メンバーは、大企業のトップや
最高幹部と同格以上です。
起業家とは、資本主義社会において、一番価値が高いのです。
起業すると思うだけで、すでにあなたは起業家になるための第一ハードルを越えています。
第二に、好況時であればチャンスは多く、また不況時ならば、それで競争が少ないということです。
起業を冒険と考える人は、不況であればあるほど起業しません。
従って、競争相手が絶対的に少なくなります。
これは新興の起業家にとっては有利な状況です。また、好況時には、誰もがわれ先に
新規市場に進出を図り、新規開設企業数も大きく増えます。
しかし、市場がそれ以上に急速に拡大しますので、隙間がどんどん広がり、ベンチャーに
とっては、これまた、よい環境となるのです。
スタートアップ(創業間もない)企業にとって、競争・競合相手は少なければ少ないほど
よいと言えます。無難に好況時に起業して、他のベンチャーや小さな会社と競合するより、
不況下で創業することにより、ベンチャーやスモール・ビジネスの世界でオンリーワンや
ジ・ワン(規模は小さいかも知れませんが、業界では欠かすことのできない有力な企業)に
なる方が、競争上も有利です。
第三に、好況時は売上が伸ばしやすく、不況時はコストを低く押さえられるようになることです。
ベンチャーやSOHO(自宅をオフィスとしてビジネスを行うやり方)が3年の間、生き延びる
ためには「生き残りのための最低水準」として好況期に到達しやすい。
第四に、好況時には(経済のパイが大きくなるので)、起業したベンチャーやスモール・ビジネスが
生きるための戦略的余地が大きく、一方、不況時には起業家やベンチャーそのものに希少
価値が出てくることです。
戦略的余地の大きさは、自力成長と他力成長の両方で計ることができます。
自力成長とは、自分でものやサービスをつくって、売ることで事業を拡大する事ですが、
誰もが忙しく立ち働いている好況時には、提携、業務委託、下請けといった形で、
ベンチャーやスモール・ビジネスもその恩恵に与ることができます。
一方、他力成長とM&A(企業買収)の事です。
新興ベンチャーでも他社を買ったり、あるいは自分の会社を売ることが容易にできると
いう事なのです。
中高年起業こその五つの優位性
① 亀の甲より歳の功
即ち失敗の体験が多いという事です。
米国では失敗経験が多い起業家のほうが高く評価されます。
起業にあたって、過去に類似の失敗体験があると、それを活かす知恵が働くと
考えるわけです。この点において、若者起業家よりも多くの失敗を含む経験と、
そこから得られた知恵を持つ中高年には、
相当の優位性があると考えられるのです。
② 荷物にならぬ人の縁
多くの人を知っている、知己として持っているということです。
頼れるものは親でも頼れと言いますが、親兄弟親戚以外にも中高年には多くの
「頼れる」先輩、同輩、友人、知人がいるはずです。
どこでどう役にたつかわかりませんが、あって邪魔にならないが人脈です。
この点でも若者より、中高年の方が断然有利のはずです。
③ 三歩下がって師の影を踏まず
メンター(Menter)と呼ばれる人生の師がいるかいないかということを表している。
メンターとは、
良き指導者」「優れた助言者」「恩師」の意。自分自身の仕事やキャリアの手本となり、
助言・指導をしてくれる人材のことを指す。
人材育成の手法としても用いられており、組織として関与する上司や役職者ではなく、
関与度の低い他部門の人材や先輩(役職の無い人材)をメンターとして任命し、日頃の
悩み相談やキャリアパスの見本となる人材を割り当てることもある(メンタリング制度)
中高年ともなれば、若者よりこうしたメンターにすでに出会っている確立が高いとは、
言えないでしょうか。すでにそうしたメンターは亡くなってしまったという場合でも心配は、
いりません。困ったときに、メンターならどう考え、どう行動するかと自問自答すれば、
自分の知恵に頼るよりも、よい考えが生まれることは確実です。
④ 無くて七癖と信用
ないと思ってもいても実はあるのが小さな癖(七という数字は、沢山ということを意味して
いるようです)と自分に対する信用です。家族もちであれ、独身者であれ、60歳にさし
かかるころには誰でもすでに有形無形の信用を得ているものです。
米国大統領だったエイブラハム・リンカーンは、
「男は40歳を過ぎたら、自らの顔に責任を持たなければならない」と言ったと
伝えられています。この意味するところは、顔の美醜ではなく、知恵と経験が
表情や顔つきに表れるということだそうですが、この顔を「信用」と置きかえて
みたらどうでしょうか。
⑤ わずかばかりのお金
起業にあたっては、まずわずかでも、元手が必要となります。
仮にそうした蓄えがゼロだとしても、また年齢が60歳以上であったもね持ち家
(マンションでも可です)や預金があれば、銀行も少しは資金を貸してくれるでしょう。
このように、多くの成功・失敗に基づく知恵、豊富な人脈、自分に対する世間の信用、できればメンター
(人生の師)、そしてちょっとした元手(お金)を持つ中高年起業家は、若者に比べて大いなる優位性を
持っているのです。
この続きは、次回に。