企業とは何か-⑦
社会における個の位置づけ
・正義を重んじすぎて忘れ去られたもの
□ 機会の平等という名の正義、社会における位置を役割という名の尊厳を統合して
実現することこそ、産業社会の代表的組織としての企業の最大の課題である。
自己実現を阻む組み立てラインの単調さ
□ なぜ産業社会では、社会における位置と役割、自己実現と充足が失われるのか。
一つの答えは、大量生産向上での仕事が、いかなる満足も得られないほどに単調で
あることにある。仕事は、創造力の発揮どころか賃金のための労働になっている。
・単調さへの観念的な批判論
・ホーソンでの実験が示すもの
□ 働く者の満足を左右するものは、仕事の内容ではなく仕事の重要度への認識だと
いうことだった。仕事の定型度や単調さではなく、仕事の認知度、意味、意義の欠落が
問題であった。
・仕事を意義づける
□ 大量生産産業では、仕事に働きがいを見出すうえで必要な、仕事の意義づけが行われていない。
そこに働く者は、いかなる意味ある製品もつくっていない。何をなぜ行っているかを知らない。
仕事は賃金以外にいかなる意味もない。市民性がないゆえに、市民としての充足もない。
昔からいうように、仕事に意味をもたず食べるためにのみ生きる者は、市民ではないし市民たりうる
はずもない。
市民性回復のための二つの試み
□ 産業社会における一人ひとりの人間の位置と役割に関する問題の解決は、社会保険や福利厚生と
いう恩恵によってはもたらされない。必要なことは、人間としての尊厳を与えることである。
・労働組合は機能するか
第8章 産業社会の中流階級
中流階級という概念
職長にとっての機会の平等
・検討中の方策
職長の地位は確立できるか
・労務管理形態の変化
・職長労組の結成は中流意識を奪うか
・問題の解決への糸口
□ このように事業部間に不統一はあるものの、GMの経験は二つのことを教える。
第一に、職長は中流階級としての位置を保持したがっており、そのための経営陣の試みの
すべてを全面的に支持しているということである。このことは、GMでは職長労組の動きが活発で
ないことにも表れている。
第二に、職長がどれだけ中流階級としての位置を保持できるかは、どこまで分権制が行われる
か にかかっているということである。
第9章 働く者の位置と役割
労使問題の解決の糸口
□ 分権制は、マネジメントの機能が存在する範囲においてのみ意味をもつ。つまりそれは、
平の行員を産業社会に組み込むうえでは役に立たない。
彼らは指示はされても、指示はできない。
・位置と役割の喪失
いかに機会の平等を与えるか
戦時生産の教訓
・大量生産の柔軟性の発見
□ 第一の教訓は、近代大量生産のコンセプトの柔軟性の発見だった。
・仕事の意味を知る
□ 第二の教訓は、人は金のために働くのであり、仕事や製品のために働くのではないとの
考えの間違いだった。
□ きわめて多くの経営幹部が戦時生産のおかげで、人は仕事に誇りをもつとき成長することを知った。
同時に戦前においては、人が仕事の意味づけを必要とすることを知らず、そのための方策を見出す
努力をしていなかったことを覚った。
・提案制の成果
□ 第三の教訓は、戦前にはいかに多くの創造力を無にしていたかへの反省だった。
11万5000件の提案のうち、何らかの形で採用されたものは4分の1、約2万8000件だった。
提案の4分の3が不採用だったということは、多くの者が自分の仕事を理解していないということで
あり、いうなれば、経営側が学習の機会を与えていないということだった。
一方で、提案数の多さは、彼ら平の工員たちが学ぶことを欲し、何らかの役割を果たすことを
望んでいることを示していた。
※ 自分で読んで下さい。
この続きは、次回に。