企業とは何か-⑫
第11章 生産活動の目的
利益をどう位置付けるか
第一に、利益のための生産という言い方自体に利益を経済活動の条件とし、
尺度とすることを拒否する態度がうかがえる。経済活動の正当性は、
利益ではなく産出物によるべきだというのである。
第二に、この言い方には経済活動の動因としての利益を否定する姿勢が
見られる。
第三に、この言い方には消費者が消費を決定する経済体制ではなく、
政府が消費を決定する経済体制を是とする考えが見られる。
もちろんこれは、自由競争と市場価格が生産と流通を規定する
という自由企業体制の否定である。
・利益とはリスクに対する保険料である
□ 利益とは、資本主義経済、社会主義経済、原始経済のいずれにおいても、
それらリスクに対する保険料であり、経済活動の基盤となるものである。
リスクに対する相応の用意のない社会は、自らを食い潰す貧困化する
社会である。
□ 利益とは、未来への賭けに伴うリスクにたいする保険であるとともに、
生産の拡大に必要な資本設備のための唯一の原資である。
新たな資本は、生産と消費の差から捻出するよりほかにない。
その差が利益である。それが多ければ多いほど経済は発展し、動揺に耐え、
後退から回復する、経済の成長と安定は利益の多寡に比例する。
・利益とは経済活動の唯一の評価尺度
この続きは、次回に。