お問い合せ

チェンジ・リーダーの条件⑦

○   マーケティングの目標

目標の設定においても、その中心となるのはマーケティングとイノベーションである。

顧客が代価を払うのは、この二つの分野における成果と貢献に対してだからである。

マーケティングの目標は一種類であってはならない。

つねに複数でなければならない。つねに複数でなければならない。

既存の市場における既存の製品やサービスについての目標、製品、サービス、および市場の廃棄についての目標、既存の市場における新製品や新サービスについての目標、新しい市場についての目標、流通チャネルについての目標、アフターサービスについての目標、信用供与についての目標などである。

マーケティングに関わる目標は、集中の目標と市場地位の目標である。

マーケティングの目標の基礎となるもう一つの基本的な意思決定は、市場地位の目標である。

一般には、「マーケットリーダーになりたい」と考えるのが普通である。

あるいは逆に、「売上げが伸びさえすれば、シェアは気にしない」という考え方もある。

いずれも、もっともに聞こえる。だが、いずれも間違っている。

したがって、市場において目指すべき地位は、最大ではなく最適である。

 

○   イノベーションの目標

イノベーションの目標とは、「われわれの事業は何であるべきか」との定義を具体的な行動に移すためのものである。

いかなる企業にも、三種類のイノベーションがある。

製品におけるイノベーション、市場、消費者行動、価値観に関わるイノベーション、製品を市場にもっていくまでの間におけるイノベーションである。

イノベーションの目標を設定するうえで、イノベーションの影響度と重要度の測定のむずかしさにある。

 

○   経営資源の目標

企業が業績をあげるうえで必要な三種類の経営資源それぞれについても目標が必要である。

それら経営資源の獲得、利用、生産性に関わる目標である。

経営学者が200年も前から言ってきたように、経営活動には三種類の資源が必要である。

それは、労働つまり人的資源と、土地つまり物的資源と、資本つまり明日のための資金である。

企業は、これらの経営資源を引きつけ、生産的に利用できなければならない。

人的資源と資金の入手に関しては、特にマーケティングの考え方が必要である。

「われわれが欲しかつ必要とする種類の人材を引きつけ、留めておくためには、わが社における仕事をいかなるものとしなければならないか」「いかなる種類の人材を獲得できるか。

それらの人材を引きつけるには、何をしなければならない」「われわれが必要とする資金を引きつけて留めておくには、わが社への資金の投入を、いかにして魅力あるものにしなければならないか」を問うことが必要である。

これら経営資源に関わる目標は、二方向において設定しなければならない。

一方の出発点は、自らの需要である。自らの需要を市場の状況との関連において検討しなければならない。

他方の出発点は、これら三つの経営資源の市場である。

それらの市場の状況を、自らの事業の構造や、方向や、計画との関連において見ていかなければならない。

 

○   生産性の目標

経営資源を手に入れ、それを利用することは、第一歩にすぎない。

それらの経営資源を生産的なものにすることが重要な課題である。

あらゆる企業が、人的資源、物的資源、資金という三つの経営資源について、生産性の目標を設定しなければならない。

同時に、生産性全体について目標を設定しなければならない。

マネジメントの質というこの決定的な要因を測定する一つの重要な尺度が、生産性、すなわち経営資源の活用の度合いとその成果である。

生産性の向上こそ、マネジメントにとって重要な仕事の一つである。

また、困難な仕事の一つである。なぜならば、生産性とは、さまざまな要因の間のバランスでもあるからである。

かつ、それらの要因のうち、定義しやすいものや測定できるものが、きわめて少ないからである。たとえば労働は、三つの生産要素の一つにすぎない。

したがって、労働の生産性の向上が、他の経営資源の生産性の低下と引き換えにもたらされたのであれば、全体の生産性は低下しているかもしれない。

生産性とはむずかしい概念である。しかし、それは中心的な概念である。

しかし、それは中心的な概念である。

生産性の目標がなければ、事業に方向性がなくなる。

生産性の尺度がなければ、事業はコントロールできなくなる。

 

○   社会的責任の目標

組織は社会と経済の創造物である。

社会や経済は、いかなる組織をも一夜にして消滅させる力をもつ。

組織は、社会や経済の許しがあって存在しているのであり、社会と経済が、その組織を有用かつ生産的な仕事をしているとみなしているかぎりにおいて、存続が許されているにすぎない。したがって、社会性に関わる目標は、単なるよき意図の表明ではなく、組織の戦略としなければならない。

それは、マネジメントが、社会に対して責任があるために必要となる目標ではない。自らの組織に対して責任があるために必要とされる目標である。

 

この続きは、次回に。

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