チェンジ・リーダーの条件⑲
○ 資金情報と人材情報
富を創出するための活動に必要とされる第四の情報は、二つの希少な資源、すなわち、資金と人材についしての情報である。
ほとんどの企業が収益率、回収期間、キャッシュフロー、現在価値という四つの基準のうち、一つか二つだけで投資案件を評価している。
さらに深刻な問題として、ほとんど全ての投資案件について、次の二つのきわめて重要な情報を手にしていないという事実がある。
第一は、「採用した投資案件が約束した成果をもたらさなかったとき、何が起こるか」である。
投資案件の六割は、約束した成果をもたらさない。
「投資が約束した成果をもたらしたとき、重大な損害が生じるか、それともさしたる損害は生じないか」を検討しなければならない。
第二に、逆に、「採用した投資案件が成功し、あるいは予想以上の成果をもたらしたとき、次に何をしなければならないことになるか」である。
さらに、すべての投資案件について、もたらすべき成果に期限を設けなければならない。
いつまでに、何を期待するかを明らかにしておかなければならない。
さらにまた、投資の成果が明らかになった時点で、「大成功だったか」「一応の成功だったか」「少々の失敗だったか」「大失敗だったか」について分析しなければならない。組織の仕事ぶりを改善していくうえで、投資の成果を、当初のむ約束や期待と比較対照することほど有効なことはない。
企業が富を創出するには、資金の配分と同じように、明確な目的意識のもとに慎重な人員の配置を行うことが必要である。
そのためには、人事の結果について、記録し、注意深く検討することが必要である。
○ 事業の成果はどこにあるか
事業の失敗を招くにいたる致命的な誤りは、税制、社会規制、市場選考、流通チャネル、知的財産権などの企業環境が、自分たちの考えるようなものであるに違いない、あるいは少なくとも、そうでなければならないと安易に仮定し、決め込んでしまうことにある。
したがって、そのような仮定に対し、つねに疑問を投げかけてくれる情報を得るためのシステムが必要である。
期待する情報を提供してくれるだけでなく、正しい疑問を提起してくれる情報システムが必要である。
そのような情報システムを構築するには、企業自身が、自ら必要とする情報が何であるのかを知らなければからない。
さらに、そのような情報システムを構築した暁には、それらの情報を日常的に手に入れられるようにしなければならない。
そして、あらゆる意思決定に反映させていかなければならない。
現在特に必要とされているものは、情報の使い方について具体的に教え、事業や業務について具体的に聞き、双方向のコンサルティングをしてくれる情報サービスである。
それは、外部の情報システムにアウトソーシングすることもできる。
しかし今日、特に中小の企業にとって人気のある情報システムが、コンサルタントである。
コンサルタントとは内部化したアウトサイダーである。
いかなる方法で情報を入手するにせよ、きわめて大きな脅威とともに、きわめて大きな機会が存在する外部環境についての情報は、ますます、必要にして不可欠のものとなっていく。
この続きは、次回に。