チェンジ・リーダーの条件-29
3章 ベンチャーのマネジメント
○ 成功のための四つの原則
ベンチャーが成功するには、四つの原則がある。
第一に、市場に焦点を合わせること、
第二に、財務上の見通し、特にキャッシュフローと資金について計画をもつこと、
第三に、トップマネジメントのチームを、それが実際に必要となるはるか前から用意しておくこと。
第四に、創業者たる起業家自身が、自らの役割、責任、位置づけについて決断することである。
○ つねに市場中心で考える
あくまで市場志向、市場中心でなければ、単に競争相手のために機会をつくっただけに終わる。
予期せぬ市場から予期せぬ関心が、本当の可能性を示すものか、それとも単なる好奇心にすぎないかを見分けるには、たいしてコストはかからない。
わずかな感受性と体系的な作業が必要なだけである。
外へ出て見ればよい。市場に出て、顧客やセールマンと時間を過ごし、見たり聞いたりすればよい。
最大の危険は、製品やサービスが何であり、何であるべきかであり、いかに買われ、何のために使われるかについて、顧客以上に知っていると思い込むことである。
予期せぬ成功を、屈辱ではなく機会として捉えなければならない。
そして、顧客のニーズを変えることによって対価を得るのではないというマーケティングの基本を受け入れなければならない。
企業は、顧客がもっているニーズを満足させることによって対価を得る。
○ 財務上の見通しを立てておく
設立間もないベンチャーに特有の病が、市場志向の欠如である。
財務志向の欠如と財務政策の欠落は、成長の次の段階における最大の病となる。
財務上の見通しをもたないことは、成功するほど大きな危険となる。
原因は、いつも同じである。
第一に、今日のための現金がない。
第二に、事業拡大のための資本がない。
第三に、支出や在庫や債権を管理できない。これらの三つの症状は、いずれも予防することができる。
ベンチャーは、キャッシュフローの分析と予測と管理を必要とする。
資金のマネジメントは、キャッシュフローの予測によって容易に行うことができる。
ここでいう予測とは、希望的観測ではなく、最悪のケースを想定した予測である。成功しているベンチャーは、自らの資本構造を超えて成長する。
ベンチャーが成長していくには、それらの最重要項目-アフターサービス、未収金や在庫、製造コスト等について、つねに三年先を見越し、コントロールのシステムを確保していかなければならない。
重要なことは、それらのことを意識し、注意し、必要に応じて迅速に対応できるようにしておくことである。
最重要項目に注意さえしていれば、通常、コントロール上の混乱は生じない。そのための手法は簡単に手に入る。会計の教科書に説明してあるとおりである。ただし、自ら行わなければならない。
この続きは、次回に。